オンエアレポート

03
24
Thu

今日のゲストはヴァイオリニスト・石川綾子さん


石川綾子さんが感謝している人とは?

私のヴァイオリンの恩師、アレキサンドル・トディチェスク先生に心から
“Thank you”と伝えたいです。彼はあの歴史的に有名なヴァイオリニスト
David Oistrakhの愛弟子ですが、私にヴァイオリンを演奏する事の本当の意味を
教えて下さった先生です。
私は父の仕事で幼い頃、ロンドンに住んでいたのですが、途中日本に5年間ほど戻り、
15歳からつい最近まで はシドニーに住んでおりました。
シドニーで出逢ったヴァイオリンの先生アレキサンドル・トディチェスクが私の一生の恩師です。Alex(先生の愛称)とめぐり逢えた事で、私のヴァイオリンに対しての意識が大きく変わりました。
それまでの私は、いかに譜面に忠実に演奏するかに重点を置き、
先生の指導に少しでも近づけるよう最大の努力を払っていました。
しかし、ある日Alexに、
「僕はここのフレーズは優しい雰囲気だと思うけど、AYAKOはどう思う?」
と聞かれたのです。生徒である私がこんな大先生に意見を言ってもいいのかしら?・・
と戸惑いながらも、
「私は、穏やかだけど、どこか淋しいと感じました・・」と答えたところ、Alexは
「AYAKOが感じたままに弾きなさい。」と仰いました。
私は、目の前がパーと明るくなったように感じ、嬉しくてたまりませんでした。
私の感じたままに表現していいなんて・・!嬉しい!
その日以来、私はこの曲はこう弾きたい!と訴えるようになり、
その作曲家や時代背景全てに関し大学の図書館で何十冊もの資料をあさり、
私自身の曲を作り上げるようになりました。先生と意見が違う時などは、
寝ずに話し合う事もしばしばありました。
Alexは表現する事の楽しさ、自分の意見を持つ事の大切さを気付かせて下さいました。
そして、私の人生の転機になる一言を下さいました。
「AYAKOは凄まじく努力家だけど、なんでそんなに一生懸命ヴァイオリンを練習しているの?
自分で楽しむ為?違うでしょ!演奏を通し表現する事で、
自分の意見をみんなに伝えたいんでしょ。」と。
そして、私がヴァイオリニストとして生きていく事にそっと背中を押して下さったのです。