Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.192 工藤律子さん

2016年12月04日

今夜お迎えしたのは、先週に引き続き、
集英社より刊行された、『マラス――暴力に支配される少年たち』で
第14回 開高健ノンフィクション賞を受賞されました、ジャーナリストの工藤律子さんです。

工藤さんは、東京外国語大学 大学院 地域研究、
研究科修士課程在籍中より、メキシコの貧困層の生活改善運動を研究し、取材活動を開始。

現在は、ジャーナリスト、NGO「ストリートチルドレンを考える会」の、
共同代表として、活躍をされていらっしゃいます。

工藤さんがジャーナリストとして活動するまで、工藤さんの”今後の夢”について伺いました。






──前向きに生きていく


茂木:ラテンアメリカに学ぶ、人生が苦しくても前向きに生きていく秘密は何でしょうか?

工藤:みんながみんなというわけではないと思いますけど。私が会った人達は貧困層の人とか、経済的には恵まれた家庭であっても、弾圧を受けたとかそういう人達が多いので。打たれた時に、先を肯定的に見られる意識の持ち方っていうのは、ラテンアメリカの世界って、小説なんかでもラテンアメリカ文学とか、ありえないような事が普通にあって…そういうところなので、日本的な型にハマったというか、”こうすれば、こういう風に順調にいく”と計画しちゃダメなんですよね。

茂木:最初から、そういうことを計画しないんですね!

工藤:どうせ計画しても、そうならないので(笑)。ならないところで、そんな事をやろうと思うと追い詰められるばかりですから。頭から”この通りにならなくて普通”くらいに思っているんじゃないかと思いますね。

茂木:いまの日本の高校生と話していると、大学に行って、大手企業に行って、年金もらえるまで働いて…っていう人生設計を描いたりしてるじゃないですか?そういう事をやろうとしても、どうなるかわからないっていう世界ということですか?

工藤:そういうのを、頭の片隅に置いとくくらいの感じで生きた方がいいっていう…計画する事は大事だと思っているんですけど、逆に計画失敗をした時に、日本人は脆いと…そういう意味では、彼らも崩れるのは想定内、計画は立てるけどどこかで間違っても”まぁ、いいや”っていうくらいの姿勢があるんでしょうね。

茂木:工藤さん自身もそうやって生きているんですか?

工藤:かなり近いかもしれないですね(笑)。あまり先の事を決めても、そうならなかった時に落ち込んでも意味がないですよね。

茂木:メキシコ中心に取材をしてきて、日本、ラテンアメリカ、メキシコ、比較をすると、今一番何が大事なんですか?

工藤:メキシコ、ホンジュラス、スペインも毎年取材してるんですけど、共通して興味を持っているのは変革ですね。

茂木:社会の変革ですか?

工藤:そうですね。個人の暮らし方もありますし、人生に対する、何でもガチガチに決めずに臨機応援に対応するのもそうだし。
今の世界のあり方とか、一般の人達の暮らし方が徐々に崩れているじゃないですか。いろんな意味で、いろんなところが崩れてきちゃって、その影響でマラスみたいな人が出てきたり、日本でも子供のいろんな問題が出たり…今あるものに、すがっていてもダメだということの表れだと思うので。変えるという事を考えるのが、今、一番必要なことだと思いますね。





──変わらず続けること


茂木:ラテン世界って広大じゃないですか?
工藤さん自身は、ジャーナリストの立場から見てどういう現象に注目されていますか?

工藤:ラテンアメリカはちょっと前まで、一時、かなりの国で左派政権が政権をとっていて。メキシコだけ例外なんですけど、メキシコ人なんかは…私の友達などは「南米羨ましいよ」って言ってたくらい、市民寄りの政権が多かったんですけど。
それが、ここ何年かでガラッと変わりつつあって、ブラジルも潰れましたし、アルゼンチンもそうですし。多くの左派政権が潰されてしまっているので、そこがどうなるか一番気になりますね。

茂木:左派政権が消えていったのは、どういう背景なんですか?

工藤:単純に言えば、アメリカ合衆国の都合なんじゃないかと私は思っちゃいますけど。

茂木:アメリカの影響は大きいんですか?

工藤:左派政権がたくさんあった頃っていうのは、アメリカ合衆国の影響をずっと受けてきた歴史を、変えようという事で増えたんですけど。今はまた巻き返しているというか…米国中心の自由貿易とか、いろんな意味で、そっちに行かせようとしている感じがあるんですね。
その流れもあって、キューバ、ベネズエラも経済的にボロボロになっちゃいましたし。そもそもソ連が消えてから、頼りにしていたベネズエラがガタガタなので、これはまずいぞというのでキューバとしても米国との国交回復とか、別の関係作りをしないとまずい状況になったというのがあると思うんですね。

茂木:この番組は夢がテーマなんですけど、工藤さんの今後チャレンジしたいこと、夢って何ですか?

工藤:変わらない事ですね。変革というテーマで取材を続けたいけど、変革というテーマを追って、そういう事に関わっている人を取材するっていう事を変わらず続けるのが私のやりたい事ですね。

茂木:続けていくっていう事も大切ですもんね。

工藤:変えていくっていうことは必要だけど、自分が一つのことを変わらず続けることも意外と難しいと思うので。
それでギャラが貰えようが、もらえまいが、自分は変革に関わっている人たちを追い続けるんだぞという姿勢を変えないっていうのが、これからの夢ですね。





「工藤律子 オフィシャルブログ」

「Cambio en la Calle - YouTube」

●工藤律子・著「マラス 暴力に支配される少年たち」


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来週のゲストは、カヌー選手の羽根田卓也さんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。
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