Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.205 吉藤オリィさん

2017年03月05日

今週お迎えしたのは、株式会社オリィ研究所 代表取締役 所長 吉藤オリィさんです。

吉藤さんは、奈良県のご出身。
早稲田大学で、孤独解消を目的とした”分身ロボット”の研究開発を、
独自のアプローチで取り組み、2012年に株式会社オリィ研究所を設立。

吉藤さんが開発された、分身ロボット"OriHime"は、
「遠く離れた場所にいても、その場にいるかのように会話が出来る」というロボットで、
現在、医療の現場や介護の現場で導入され、高い評価を受けていらっしゃいます。

世界中から注目されている、吉藤オリィさんをお迎えして、
分身ロボット"OriHime"が生まれた背景について伺いました。






──分身ロボット「OriHime」


茂木:「OriHime」がスタジオに来てますね。これは、ジェンダーとしてはどっちなんですか?

吉藤:どっちでも解釈できるようなデザインになっているんですね、名前は「OriHime」と言うんですけど。
操作する人が男性であれば男性に思えるように、女性だったら女性に思えるように……、ということをコンセプトにして作っています。

茂木:額にカメラがありますね。

吉藤:そうですね、ここのカメラで周囲のものを見ることができます。

茂木:腕が2本ありますが、この腕は動くんですか?

吉藤:この腕を使って、手をあげたり、拍手をしたり、感情表現ができるんですね。

茂木:操作する方は遠隔地にいる方なんですよね?

吉藤:そうですね。「OriHime」というロボット自体が、分身を作ろうというコンセプトで作ったものでして。
遠隔地にいる人が自分の体のように扱って、周囲のものを「OriHime」を通して見たりとか、感情表現という身体表現ができるんです。

茂木:先ほど、盛岡にいらっしゃる方が遠隔操作をしていただいていたんですけど。
盛岡にいらっしゃる方はどういう方なんですか?

吉藤:番田という僕の友人なんですけど、うちの会社の社員でもあるんですね。
彼は距離の問題と、身体的な問題も抱えてまして。4歳の時に交通事故に遭ってしまって、首から下がまったく動かないんですね。
顎は動くので、顎を使ってコンピューターを操作してチャットをしたりできるんです。



茂木:番田さんが「OriHime」を使って、自分が東京のスタジオにいるかのような体験ができるんですね。
ユーザーがこの「OriHime」を使って、どんな感想をおっしゃってますか?

吉藤:いろいろあるんですけど。用途によって、入院してる人が家族とテレビを見て楽しかったとか。
8歳くらいの男の子が、家族と正月を一緒に過ごせたとか。

茂木:家に「OriHime」を置いておいて、病院で操作して、ということですね。

吉藤:家族で正月のテレビを見たり、あたかも帰っているような気分が味わえるんですね。

茂木:音声もそうですし、映像も届くわけですよね。どっちを見るかというのも自分でコントロールできるんですね。

吉藤:そうですね。首の向きを好きに変えることができるし、家族側もずっと繋ぎっぱなしにしているんですけど、ふとした時に会話ができたり。
息子がここにいるような気がすると、両方にとって家にいるのと同じような環境が作れるんですね。





──やりたい事だけやる


茂木:「OriHime」を開発した背景には、ご自身の幼少の頃の経験が関係してるということですが、どういうことですか?

吉藤:もともと体が強い方ではなくて、小学校の5年生くらいから不登校になっていたんですね。3年半くらい、ずっと行かなかったわけではなくて、たまに行っては、保健室に行って…ということがあったんですけど。
ほとんど1週間に1回くらいしか行けない状態が3年半続きました。

茂木:大変でしたか?

吉藤:その頃は本当に辛かったですね。もともと病気の疑いがあるということで、体をよく崩していたんですよ。
検査入院をしようと、2週間くらい学校を休んでいたことで、精神的に学校に行けないという事とか、学校での居場所を失ったこともあって、徐々に精神的に参っていってしまって。

茂木:そうだったんですね。

吉藤:よくある話なんですけど、学校に行こうとするとお腹とか頭が痛くなってくるという、本当に痛いんですけど信じてもらえない。
そういうのが続いて、学校に行くことができなくなってずるずると…。

茂木:そこから、どうやって元気になっていったんですか?

吉藤:私が小さい頃からやっている趣味があって、折り紙が好きなんです。
机の上で、綺麗に端と端を折るというものではなくて、空中で形を折っていく創作折り紙をやろうと、10歳くらいからやっているんですね。
不登校に入ってからは、さらにエスカレートして、創作折り紙だけをやっていました。

茂木:学校には行かないけど、創作折り紙はやっていたんですね。

吉藤:これが、後々のものづくりの原点になっていったんですね。
ということで、「オリィ」という風に名乗るんですけど。

茂木:(折り紙を見て)すごいですね!



吉藤:不登校の時に考えた創作折り紙の「吉藤ローズ」です。

茂木:折り紙は平面的なバラはありますけど、これは立体的だもんね。
今まで何回くらい作りました?

吉藤:何千回かは折ってますね。

茂木:これ、言葉で形容するのは難しいですよね。
誰か他にできる人います?

吉藤:うちの社員はみんなできます。”こういう折り紙があってもいいんじゃないかな?”と思ったんですね。
昔から、”こうじゃないといけない”とか、”折り紙はそういうもんだ”と言われるのがすごく嫌だったんですね。

茂木:それがひとつの心の支えになったんですね。

吉藤:”折り紙だけは誰にも負けないぞ”という、それを見た母親がですね、何もせずぼーっと天井を見ながら寝てる日が続いた私に、「折り紙ができるんだったら、ロボットを作れるだろう」と言いだしまして。

茂木:「ロボットを作ってみたら?」と言われて、やったんですか?

吉藤:いきなり作ったわけではなくて、ロボットのコンテストがあると、そこに行くとロボットのキットがあって、組み立ててプログラミングすれば動くと。
その大会に行ってらっしゃいと、勝手に申し込まれたんですね。”面白そうだな”と思って行ってみたら、偶然優勝することができたんですよ。

茂木:すごいじゃないですか!

吉藤:運が良かったとしか言えないんですけどね。
次の年に全国大会があって準優勝することができました、それが中学校2年生のときですね。
その時にすごい先生がいらっしゃって。久保田先生という私の師匠なんですけど。この先生が、一輪車に乗るロボットを披露してらっしゃって、”これはすごいな”と思って、この先生に弟子入りしたいと強く思いました。
その先生が地元の工業高校の先生をされていると聞いたのがきっかけで、じゃあ、勉強しようかなと思ったんです。

茂木:いい感じの流れですね。

吉藤:そうですね。そういう意味では、好きなことしかせずに今まで来た感じはあるんですけど。

茂木:それで早稲田大学に行くわけですけど。早稲田で研究室を持ってやったんですか?

吉藤:研究室というか、これは完全に非公認で…早稲田大学は、理工学部は3年生になったら研究室に配属されないといけないんですよ。

茂木:普通はそうですね。

吉藤:全部の研究室をまわったんですけど、私の本当にやりたい研究室がないなと思って。
じゃあ作るかということで、アパートの六畳一間に、それがオリィ研究室と言うんですけど。

茂木:いい意味で変わってますね(笑)。
自分の興味をずっと追ってきたっていう感じなんですね。

吉藤:興味というか、原点になっているのは不登校時代の孤独感なんですね。

茂木:孤独を癒すためのロボットとして、この「OriHime」を考えたんですね。
楽しく生きてきてますね(笑)。

吉藤:そうですね(笑)。





「株式会社オリィ研究所」公式サイト

分身ロボット「OriHime」公式サイト




来週も引き続き、株式会社オリィ研究所 代表取締役 所長の吉藤オリィさんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。
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