Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.260 門井慶喜さん

2018年03月24日

今週ゲストにお迎えしたのは、講談社から発売されています
「銀河鉄道の父」で、第158回直木賞を受賞された、作家の門井慶喜さんをお迎えしました。

門井さんは、群馬県のご出身で、現在46歳。
同志社大学文学部をご卒業後、
2003年、オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。

2015年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補に、
2016年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となり、
今年、2018年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞されました。

今回直木賞を受賞された作品「銀河鉄道の父」は、宮沢賢治の生涯を父親の視点から描かれた作品です。
受賞作品「銀河鉄道の父」が、どのようにして生まれたのか? 作品についても色々と、お伺いしていきます。


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──父の視点から描いた理由


茂木:直木賞受賞、おめでとうございます!

門井:ありがとうございます!

茂木:直木賞を取られてから、変化などはありますか?

門井:直木賞を取ってからあちこちからメールがすごくて。一晩で200通くらいもらいましたね(笑)

茂木:えぇっ!!

門井:メールを読むだけでもだんだん夜が更けていくみたいな感じで、まずそれにビックリしましたね。

茂木:今回、3回目の候補で受賞ということでしたけど、自信の方はあったんですか?

門井:正直、僕は自信はあんまりなかったんですが、候補に残った段階で、”本命じゃないか?”という風に言ってくれる人が周りにちらほらいたんです。
今回、その数が今までで一番多かったんですね。ですので、本命視されてるんだなぁ、という風に嬉しく思いました。

茂木:今回の受賞しましたのは、講談社から発売されています「銀河鉄道の父」という作品で、
宮沢賢治の生涯を父親の視点から描いたという作品なんですけど、父の愛というものが濃密に描かれていたのと、
宮沢賢治さんって、我々にとっては偉大な作家ですけど、父親から見るとかなり心配な息子だったんだな、ということを改めて感じました。発想が素晴らしいですよね!

門井:ありがとうございます。宮沢賢治に関する本っていうのはこれまでたくさんあって、わざわざ僕は書く必要はないんですけれども、
その一方、お父さんになりますと、僕の調べた限り本にまとまっているものが一転して全くないんですね。

茂木:ということは、これが最初の一冊なんですね。何から着想されたんですか?

門井:元々は学習漫画なんですね。僕自身にも子供が三人おりまして、その子供のために学習漫画の宮沢賢治というのを買ったんですね。
もちろん、それは宮沢賢治の本なのでお父さんはちょっとしか出てこないんですけれど、お父さんは僕には大変立派な人に見えたんです。
その本の中でお父さんは、賢治に小説を書かせなかったり、無理やり家を継がせようとする悪役なんです。
でも、僕の目にはそれは父親の責任感であって決して悪いことをしようと思ってしたわけじゃないんだ、という風に思った時に「これは僕の小説になる」という風に閃いたんですね。

茂木:門井さんは作家なので、この小説においてのご自身の立場としては宮沢賢治に近いのかなと思うんですけど、同時に父親という視点もあったんですね。

門井:実は、最初に着想した点では賢治のことはほぼ全く考えてなかったです。この宮沢政次郎さんていう父親が単品で立派だと思ったので、この人を書こうっていう感じでしたね。

茂木:門井さんのお父様は、門井さんが作家になるってことについてはどんな感じだったんですか?

門井:本当に何も言わなかったですね。僕はサラリーマンをしながら小説を書いて、あちこちの新人賞に応募してたんですけど、僕も自分からは何も言わなかったですし、父も何も言わなかったですね。
ただ、僕が初めてオール讀物推理小説新人賞の最終選考の候補に残って、落ちた時があったんですけれど、その時、父は嬉しかったんでしょうね。
オール讀物をたくさん買いまして、仕事の取引先とか友人とかに「俺の息子がここに載ってるんだよ」って配ってたみたいなんです。といっても1行だけなんですけれどもね(笑)

茂木:最終候補に残ったというだけでも喜んでいたんですね。

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──宮沢賢治という人間

茂木:この小説は、宮沢賢治という人が小説家になる過程ですごく苦労されていて、その苦労を父親がハラハラしながら見てる。だからこそ、宮沢賢治の苦労が親身に伝わってくる。その構造が素晴らしいな、と思います。

門井:ありがとうございます。今の我々が一番最初に宮沢賢治の作品を受け取るのはどこかって言ったら学校なんですね。
先生の口を通じて受け取りますから、若干説教臭いものを感じてしまう向きもあるんですが、宮沢賢治は聖人君子でもなければ、道徳の化け物でもないんです。
おそらく家族から見るのが宮沢賢治という人間を一番自然に出せるんじゃないかな、という風には結果的に思っています。

茂木:宮沢賢治という人は、現代の我々にとってはどういう意味を持つ作家だと思われますか?

門井:我々にとっては賢治が書くものはすごく綺麗に写るんですけど、でも本当は宮沢賢治だって人間のことを綺麗だとばかり思っていたはずはないんですね。
本当は人間の汚いところ、暗いところ、あるいは自分自身の暗いところも全部知った上で、勇気を持って美しいものを書いた人だと思います。
ですので、僕らも綺麗なものを書く、きれいなものを作るには、実はとっても勇気がいるんだっていうことを文学という形で端的に教えてくれるのが宮沢賢治っていう人なんじゃないかなという風に思ってます。

茂木:なるほど。僕は門井さんご自身が非常に多くのジャンルを書かれるので、作家として分類不能みたいな、一人でそこに立っているみたいなところがあると思うんですけど、その辺りってちょっと宮沢賢治に似てませんか?

門井:そこまで褒めていただくととっても嬉しいですね。僕は宮沢賢治ほどの大才はないと思ってますけれども、でも近づきたいと思ってますのでそう言っていただけると嬉しいです!


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講談社 公式サイト



(Amazon)






来週も引き続き、小説家の門井慶喜さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。
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