Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.437 AIビジネスデザイナー 石角友愛さん 著書「いまこそ知りたいDX戦略」・「AI時代の新キャリアデザイン」

2021年08月14日

石角友愛さんは、東京都のご出身。

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、
シリコンバレーのGoogle本社で多数のAIプロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。

その後、流通系AIベンチャーを経て、
2017年にPalo Alto Insightをシリコンバレーで起業されました。

こちらでは、データサイエンティストのネットワークを構築し、
日本企業に対して最新のAI戦略の提案から、AI開発まで一貫した支援を提供され、
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手がけていらっしゃる、
今、注目の起業家でいらっしゃいます。


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──『FOMO』の罠にはまらない

茂木:(石角さんのご著書の)『いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する』にも、『FOMO』と載っていますが、これは何の頭文字なんですか?

石角:これは『Fear of missing out』と言って、“取り残されてしまうことに対する恐怖心”という意味です。アメリカでは「『FOMO』になるな」という文脈で使われています。

茂木:これは悪いことなんですね。

石角:はい、悪いことなんです。例えば、「大事な情報を逃してしまうかもしれない」という恐怖心から、見たくもないソーシャルメディアを見る、ですとか。行きたくもないパーティに行く、とか。そういうのは全部『FOMO』なんですね。
今、みんなコロナの中で自分にとって一番大事なものを考えて、「本当に一緒にいて楽しい人とだけ仲良くしよう」とか、いい意味でミニマムになっていく人が増えてると思うんですけど、そういう意味でも、AI導入とかDXでも、この“『FOMO』の罠にはまらないこと”というのが、すごく大事なんです。

茂木:「AI化に乗り遅れてるから急がなくちゃ!」のような。

石角:そうなんです。今、毎日当たり前にメディアで「DX」と騒がれて、本屋に行けばたくさんDX関連の本もあるし、「どうしよう?」というので、とりあえずDX推進室を作るとか、とりあえず外からCTOを連れてくるとか、そういうのは必ずしも成功するやり方ではない、と。そういうことで“『FOMO』の罠にはまらない”というのが大事だということです。

茂木:石角さんはシリコンバレーを拠点に会社をされていて、日本とアメリカのITやAIに関する環境の差を感じられると思うんですけど、何が一番違いますか?

石角:“エンジニアが周りにいるかいないか”、というところは1つ大きな違いですよね。あと、私がもう1つ大きな違いだなと思うのは、シリコンバレーでスタートアップをやっていた時からなんですけど、(アメリカは)“前例・事例主義”じゃないんですよ。「周りが導入してるから」とか「周りがやってるから」とか「どういう事例があるか」とか、全然聞いてこないんですよね。

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茂木:本当に聞いて来ないんですか。

石角:来ないです。意思決定者がいいと思ったら、とりあえずやってみよう、と。「あ、いいよ、やりましょう」と、そういう会社がすごく多くて。でも日本では、まず“事例”! 2言目に“事例”! 「とにかく事例を教えてください」と(笑)。

茂木:そういう会社が多いんですね。

石角:多いです。例えば「AIをやってうまくいった会社の事例を教えてください」と。でも、成功事例ばかり知ったところで、結局全体像の把握にはならないじゃないですか。そういう調査とか比較・検討とかにすごく時間をかけている人が多いイメージがありますね。結局それは時間とリソースのロスに繋がりますから、もったいないですよね。

──AI時代の人間のコアの価値

茂木:石角さんは『AI』とか『DX』と言われるようなこの変化で、人間の働き方や組織のあり方は、どう変わると思われますか?

石角:逆にAI時代だからこそ、人間としての強みとかを強化していかなければいけなくなっているし、見直さなければいけないし、そこにだけ注力するべきだというような議論が今起きていると思います。なので、“AIで代替できることはどんどんやって、より高付加価値なところに人間のリソースを割こう”という考え方が大事になってくると思うんですよね。だから「AIが私の仕事を奪う」じゃなくて、「AIを使って、より付加価値の高い仕事を、私はどうやったらできるだろう?」という考え方が大事になってくる。
と同時に、AIを開発する側も、単純に人間の仕事を置き換えるようなAIではなくて、人間の仕事を補佐・補完する形のAIをデザインして、実装するというマインドセットが大事になってくると思います。

茂木:ご著書の中では、例えばマイケル・ジョーダンだと、バスケットがコアの部分で、文脈が色々あるんだとおっしゃっていますけど。ある会社とか1人の人間で、「自分のコアの価値は何なのか」を見極めるというのは、どうすればいいんでしょう?

石角:難しいですよね。「何ができるんだろう?」というのを考える・問いただす癖というのがすごく大事だと思います。そこでポイントは、「私は何がやりたいんだろう?」とか、「私を衝き動かすものは何だ?」みたいな根源的な問いをすると、特に若いうちは経験値がなくて比較対象がないものだから、分からない部分があると思うんです。

茂木:そうですよね。

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石角:だからポイントは、“「自分が得意」かもしれなくて、「それに対してお金を払いたいと思う人」がいて、「嫌いじゃない」仕事”というのを見つける。1回そういう考え方で見てみる。自分のスキルを俯瞰する。それも1つのアドバイスだなと思います。

茂木:素敵なアドバイスですね。

石角:余り「私は何がやりたいんだろう?」となっちゃうと沼にはまる可能性があるから、ちょっと一歩引いて、「自分が得意かもしれないことって何だ?」、「それに対してお金を払いたいと思う人がいるのか?」、そして「嫌いじゃない」。…ポイントは「嫌いじゃない」、好きじゃなくてもいいんです。

茂木:「嫌いじゃない」という言い方がすごくいいですね。

石角:そうなんですよ。「好き」となると、かなりフィルターがかかっちゃうんです。

茂木:狭くなっちゃいますもんね。「嫌いじゃない」というと意外と広いですもんね。
日本の多くの若者が、普通に高校から大学に行って、安定した就職をしたいという子が増えてきているんですけど、そういう子たちはどうすればいいんでしょう?

石角:私も今、女子高生に向けてAI人材育成のコンテンツを開発してるんですけど…。どうしても安全な道を選ぶ子が多いという話を聞くんですよね。でも、それはたぶん、自分にどれぐらいの選択肢があるのかが分からないから、とりあえずそういうものを選んでいる部分があると思うので、やっぱり、周りの人間が…教師とか親とかが、早い段階で広い選択肢を見せるというのはすごく大事なポイントだと思います。

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■プレゼントのお知らせ

ご紹介してきた、石角友愛さんのご著書、
『いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する』、
そして、『“経験ゼロ”から始める AI時代の新キャリアデザイン』、
それぞれ3冊ずつ、石角さんの直筆サインを入れてプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。

茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
一緒にを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、
商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



石角友愛 (@tomoechama) Twitter


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