Dream Heart(ドリームハート)

土曜22:00-22:30 TOKYO FM/全国38局でON AIR 各局放送時間

REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.579 ライター トミヤマユキコさん 「人生に飽きないように生きていきたい」

2024年05月04日

トミヤマユキコさんは、1979年、秋田県のお生まれ。

早稲田大学法学部をご卒業後、早稲田大学大学院文学研究科に進み、
少女マンガにおける女性労働表象の研究で博士号(文学)を取得。
現在、東北芸術工科大学芸術学部准教授を務めていらっしゃいます。

また、ライターとして、日本の文学、マンガ、フードカルチャーについて書く一方、
大学教員として、少女マンガの研究を中心とした
サブカルチャー関連の講義を担当していらっしゃいます。

著書も多数、出版されており、先日、リトルモアから『ネオ日本食』を発売されました。


null


──変化や工夫が得意な日本

茂木:トミヤマさんは今手塚治虫文化賞の選考委員をされていることで、漫画界でそういう地位にいらっしゃるわけですけど、『女子マンガに答えがある 「らしさ」をはみ出すヒロインたち』、『少女マンガのブサイク女子考』など、数々の漫画の著作を書かれています。
私が書かれていたことで面白いなと思ったのが、「女子の人生は選択の連続だ」と。これはどういうことですか?

トミヤマ:リニアモーターカーの「リニア」という言葉があるじゃないですか。「直線」や「まっすぐ」という意味なんですけど、社会的・歴史的に見ると、男性の人生は割とまっすぐに行けることが多いんです。全員とは言いませんが。

茂木:比較的ね。

トミヤマ:比較的です。大学を卒業して、企業に就職をすると、何かよほど悪いことをしない限りは、定年退職まで勤めることができて、結婚しようがしまいが、子供が生まれようが生まれまいが、一応リニアな人生を送ることができます。しかし、女性はどうでしょうか? と。
例えば、「職場結婚してどちらかが辞めなくちゃいけない」、となった時に、女性側が「じゃあ私が辞める」になったり、もちろん産休・育休も、女性が取る…「私が休みます」になったり。もうちょっと年齢を重ねていくと、「親の介護が発生しました。誰がやりますか?」という時に「じゃあ私がやります」みたいになったり。「選択をどうする?」ということを聞かれがちで、ルートが変わりがちなんです。

null


茂木:だから、ライフイベントで選択しなくちゃいけないことが多いということですよね。

トミヤマ:そう思います。

茂木:そうですか。ご専門にされている少女漫画・女子漫画というのは、やっぱりそういう現実を反映しているんですか?

トミヤマ:はい、そういう作品が結構あります。なので、現実世界で自分と似た人とかロールモデルを見つけるのがもし難しければ、ちょっと漫画を読んで頂きたいと思うわけですね。「フィクションでしょ?」「嘘でしょ?」と思うかもしれないけど、昨今の優れた漫画はかなり取材もされていまして。女性がどういう職業を選択するか、どういう人生を送っていくか、老後はどうなっていくのか…。
そうなんですよ。だから“老後”の話とかも最近は出てきていまして。結婚適齢期とか妙齢の女子が“結婚”というゴールに向かって行って、終わり、みたいな話じゃなくて、結婚した後も人生続きますよね、という感じで、結婚生活を描く、であるとか。必ずしもキラキラしている女の子の話ばかりではない作品がとても増えてきているので、人生に迷いがちな方は、生身の人間に話を聞きに行くのもいいんですけど、本屋さんに行って、自分と似た境遇の人がいないかを見て頂くのもいいかなとは思います。

茂木:トミヤマさんがご研究されている少女漫画の奥深い世界、そしてこの『ネオ日本食』…。日本とはどんな国なんですかね?

トミヤマ:私の専門に引きつけて言うなら、「ネオらせる」と私は言っていますけれど、“変化をさせる・工夫をする”、ということが非常に得意なお国柄みたいなものはあるのかなと思います。後は、その変化・変更したものを、例えば「元祖と違うじゃないか」「オリジナルと違うじゃないか」と余り言わないで、「面白ければいいじゃないか」とか、「美味しければいいじゃないか」と、後押しする大衆の力が割と強いんだとは思います。

茂木:そうか、確かにそうですね。一方で、「こうじゃなくちゃいけないんだ」「伝統的はこうなんだ」と言う方々もいらっしゃるけど、皆の気持ちは意外と「いいじゃない?」となる人が多い。

null


トミヤマ:そうです。だから私はよく『中心と周縁』という言葉で説明するんですけど、中心に伝統的なものはあるんです。古き良きものはあるし、それを守ろうとしている人達もいるんですけど、周縁…裾野がとても広くて、裾野を許さないという感じではないんですよ。裾野は広がりたければ広がっていきなさい、という、放っておかれているエリアというのが実は結構あって、ネオらせることが好きな人達とかネオっているものを摂取するのが好きな人達は、周縁で遊んでいればいいということがあるんです。だから中心と周縁の力学みたいなものが両方あるのが、結構面白いところかなとは思います。よその国とかよそのカルチャーに比べるとですけど、やっぱり裾野は広いと思いますね。

茂木:この裾野の広さを実感させる、トミヤマユキコさんの、リトルモアが出ています『ネオ日本食』。ネオっている事例がたくさんあって、本当に幸せな気持ちになってきます。

トミヤマ:私がちょっと分析しているところもありますけど、基本的にはインタビュー集ですし、料理人の方々の言葉をなるべく損なわないようにそのまま掬い上げて作った本なので、各料理人たちの言葉を是非読んで頂きたいですね。

茂木:熱いですよね。人生を懸けていますもんね。

トミヤマ:そうなんですよ。そして、ネオらせの料理人は面白いんですよ。本当に、これは褒め言葉です。ユニークな方が本当に多いので。

茂木:この『ネオ日本食』についてもっと知りたいという方は、トミヤマさんのノートのサイトがあるんですよね。

トミヤマ:そうです。リトルモアが作ってくれたノートのサイトの中に、今までの連載が載っています。

null


茂木:そちらも是非チェックしてみてください。
トミヤマさん、改めてこの『ネオ日本食』、こういう風に読んでくださいというメッセージなどありますでしょうか?

トミヤマ:気になるページから好きなように読んで頂き、お腹を空かして頂いて、街に出て、紹介したお店でもそうじゃなくても構いません。「これが『ネオ日本食』なんだ」という気持ちで、もう1回、色々な外食をしてみてください。もちろんお家で作ってもらってもいいんですけど、自分たちの食文化と改めて出会い直すきっかけになったら嬉しいです。

茂木:本当に文章が素晴らしいので、是非皆さんも堪能して頂けたらと思います。

──トミヤマユキコさんの『夢・挑戦』

茂木:ということで、色々お話を伺ってきたんですが、この番組は『夢と挑戦』を伺っています。トミヤマさんは、この春からNHK高校講座・家庭総合の番組MCも務めていらっしゃる、と。

トミヤマ:そうなんです。

茂木:ますます活躍が広がっていらっしゃるんですけども、これからのトミヤマさんの『夢・挑戦』は何でしょうか?

トミヤマ:差し当たっては、人生初のMC業を失敗せずにやり切るということが『夢・挑戦』ですが…。やっぱり、人生に飽きないように生きていきたいとずっと思っているので、2〜3年に1回、何か難しいことやろうといつも考えているんです。今年45歳になるんですけど、車の免許を取ろうかなと思っています(笑)。

茂木:頑張ってください(笑)!

トミヤマ:頑張ります!

null



■プレゼントのお知らせ

番組でご紹介してきました、
現在発売中のトミヤマユキコさんのご著書『ネオ日本食』に、
トミヤマさんのサインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。

私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、
メッセージを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



トミヤマユキコ さん(@tomicatomica) / X(旧Twitter)公式アカウント


トミヤマユキコ さん (@tomicatomica) Instagram 公式アカウント


●ネオ日本食 / トミヤマ ユキコ (著)
(Amazon)


リトルモア 公式サイト