Dream Heart(ドリームハート)

土曜22:00-22:30 TOKYO FM/全国38局でON AIR 各局放送時間

REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.641 ジャズピアニスト・数学研究者・STEAM教育者 中島さち子さん 「創る喜びを全ての人に」

2025年07月12日

今夜ゲストにお迎えしたのは、ジャズピアニスト、数学研究者、STEAM教育者など、様々な分野でご活躍されている、中島さち子さんです。

中島さんは、1979年、大阪のお生まれ。

高校2年生の時、「国際数学オリンピック」で、日本人女性初の金メダルを獲得。

その後、東京大学理学部で数学を専攻する一方で、ジャズと出会い、大学卒業後は一転、ジャズピアニストとして活動を開始されます。

そして、2017年には、株式会社steAmを設立し、ニューヨーク大学 芸術学部の修士課程に留学されるなど、現在は、音楽・数学・STEAM教育と共に、アートやテクノロジーの研究に従事されるなど、多岐にわたり、ご活躍中でいらっしゃいます。

また、現在開催中の大阪・関西万博では、テーマ事業プロデューサーとして、シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」を手掛けられています。


null


──社会をかき混ぜる「クラゲマドラー」

茂木:先週もご紹介しました、今回の大阪・関西万博のコンセプトの絵本、『クララとそうぞうのき』。ここでも、生きる様々なあり方の多様性、そして創造の喜びが描かれていますよね。

中島:はい、そうなんです。物語の途中で、楽器を持っていない子が「僕、持ってない」と言ったら、「じゃあ皆で作っちゃえ」とか。楽器とかだって、場合によっては「自分は習ってない」とか、「下手だから」とかになってしまうんだけど、そうじゃなくて、その人なりの楽器だったり、表現の仕方だったり、それがやっぱり面白いわけですよ。それが一番「音楽」なわけです。
だから生きていて、呼吸して、歩いたり、それだけでも「音楽」だから、そういうことが受け止められる社会のあり方……そこは、もしかしたら仕組みだったり、法律だったり、そういうものに繋がっていくんだと思うんですけど、まず皆が柔らかくそれを楽しめる場を作っていく、というのは、すごく大事なことかなと思っています。

茂木:中島さんは数学者として、そしてジャズピアニストとして、そしてSTEAM教育者として、色々な良い影響を世の中に与えてくださっていると思うんですけど、「日本はこうしなくちゃいけない」とか、「こういう問題がある」とかということではなくて、その喜びを元に回っていくような世の中に、そういう国になっていくためには、何が必要なんでしょうか。

中島:これも「多様な人と出会う場を作る」。私は(かき混ぜる)「マドラー」と呼んでいたりするんですね。

茂木:マドラー!

中島:はい。「クラゲマドラー」達が……色んな特性を持つ人達が、社会をかき混ぜる。
意外と混ざっていないから、本当に悪気なく「あの人、ちょっとワガママ」と思ってしまう。まあ、何か対立が起こる時は色々あるとは思うんですよ。でも、例えば、障害のある方とかだって本当はもっとたくさんいるのに、普段なかなか会っていなかったりするんですよね。色んな国の人も「もう日本はグローバル化された」と言う割には、大体皆日本語でずっと生きていて、普段から色んな国の人に出会っているかと言うと、なかなかそうでもなくて。
だから、本当に万博はいい機会だと思うんですけど。

茂木:そうか。マドラーだから混ざってしまう。あのリングの中で混ざっているんですね。

null


中島:そうです。坩堝(るつぼ)みたいになっている。
そうすると、皆悪気なく真面目になってしまう。日本人は真面目なのはいいことなんだけど、真面目な結果、「こうしなきゃいけない」、「ああしなきゃいけない」、「じゃあルールだ」、「どうでこうで」……。でも、ルールも創っていくものなんですよ。「何のためのルールか」とかそういうのを考えると、もちろん安全とかも色々大事なんだけど、もっと広く、まずはやっぱり「喜び」があって、何か緩くて遊びの要素みたいなものがもっとあるといい。
そのために、私もかき混ざって、一緒に遊べるような場だったり、機会だったり、仕組みをうまく作っていく、ということはすごく大事かな、と思っています。

茂木:ありがとうございます。

──中島さち子さんの『夢・挑戦』

茂木:中島さん、この番組は『夢と挑戦』がテーマなんです。中島さんは今までもずっと色んなことをされているんですけど、これからの『夢・挑戦』は何でしょうか?

中島:もちろん個人的には、数学でも音楽でも好きなことがいっぱいあるから(『夢や挑戦』は)あるんですけど……。ただやっぱり『夢と挑戦』と言えば、私はいつも「創造性の民主化」だと言っているんですよ。

茂木:おお、カッコいい。

中島:これはもう一貫して、それこそ万博のプロデューサーをやる前からずっと言っているんですけど、「皆が持っている創造性が、ちゃんと拓けるような社会文化を作る」と。最近はもうちょっと柔らかく、「創る喜びを全ての人に」と言っているんですけど。
今やっていること全部が『夢と挑戦』に繋がっていると思っていて、だから自分自身の喜びももちろん一生涯追求すると思うし、数学でも音楽でも夢はあるんですけど、やっぱり皆が持っている多様な「喜び」とか、「好き」とかをちゃんと拓ける社会・文化を作っていく、と。もうこれは1つ大きな夢です。
私は会社も持っているんですけど、STEAMだとか、万博だとか、そういう仕事における大きな『夢と挑戦』としてはそれです。万博の仕事も、ある意味では2025年で終わるとは全然思っていなくて、「そこから始まった何かが、未来にどうやって花を咲かせていくか?」ということがすごく大事だと思うので、これを聴いてもらっている皆さんともどこかで出会えたら……。

茂木:そうですね。皆が、何かを生み出す喜びを分かち合えるような場ができたら。

中島:そうなんです。

茂木:と、クラゲマドラーが仰っております(笑)。

中島:そうです(笑)。是非、茂木さんもクラゲマドラーになってください(笑)。

null



■プレゼントのお知らせ

番組でご紹介しました、中島さち子さんの絵本『クララとそうぞうのき』に、中島さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。

私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



中島さち子 さん (@komenorikyu) 公式 Facebook


中島さち子・シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」公式サイト
 ↑「いのちの遊び場 クラゲ館」の事前予約は、こちらから!

株式会社steAm 公式サイト
 ↑中島さんが代表を務める会社の公式サイトです。
  こちらには、KURAGE Bandの情報も掲載されています。

●クララとそうぞうのき / 中島さち子 (著), くすはら順子 (イラスト)
(Amazon)


ひかりのくに株式会社 公式サイト