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Dream HEART vol.649 元・水族館飼育員 なんかの菌さん 著書「水族館飼育員のただならぬ裏側案内」

2025年09月06日

今夜ゲストにお迎えしたのは、書籍『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』を発売された、なんかの菌さんです。

なんかの菌さんは、1983年、長野県のお生まれです。

神戸大学大学院にて美術史学を専攻後、水族館の採用試験で物好きな館長に採用され、長年にわたり生き物の飼育を担当されました。

現在は、生きものを中心としたイラスト制作なども請け負っていらっしゃいます。


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──環境問題や多様性を水族館から発信していく時代

茂木:(大学院で)美術史専攻だと、普通は美術館とかに行くんじゃないかなとは思うんですが、なんで水族館に行かれたんですか?

なんかの菌:私は、元々は美術館の学芸員を目指していたんです。それも、余り伝わっていない、知られていないことを広く伝えるような仕事をしたいな、と思っていまして。それで美術史をやりながら学芸員を目指していたんですけれども、なかなか狭き門なんですよ。それで試験に落ちまくっていまして。
その中で、たまたま水族館の募集を見かけまして、「水族館の募集か。どうせ生物学やってないと駄目だろうな」と思っていたんですけど、そういった条件が書いていなかったんですね。なので、「これ私でも応募できるじゃん!」と思って応募したら、通ってしまった、という。

茂木:僕はこのなんかの菌さんの2冊の本を拝読して思ったんですが、これは水族館業界にとっては本当にありがたいんじゃないんですかね?

なんかの菌:そう思って頂けるとすごい嬉しいんですけれども、貢献できれば、とは思ってはいました。

茂木:本当に貢献なさっていますよ。最近も色々各水族館などのイラストとか、あとはイベントとかで、水族館業界全体の代弁者みたいになられていますもんね。

なんかの菌:そこまで大仰な立場ではいたくないとは思っているんですけれども、水族館のいち側面……知られていない側面を、文字通り広めていけたらな、と思っておりました。

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茂木:僕が読んでびっくりしたのは、水族館はまず我々来館者が知らないパックヤードがすごいことになっていて、特に水回りの機器がすごいんですね。

なんかの菌:そうなんですよ。もう配管だらけで、立ったら頭をぶつける、みたいな感じなので、頭をぶつけても大丈夫なようにテープが貼ってあります。

茂木:そしてこれも「ああ、言われてみれば」と思ったんですけど、生き物にとっては水の品質が何よりも命に関わるので、それは本当に気を遣うんですよね。

なんかの菌:はい。水族館が海の近くにあったんですけれども、毎朝、海から水を取ってくる時に、その水質がどうなのかとか、微生物がどのくらいいるのか、みたいなことを調べて、その水を使う・使わないというようなことを判断していました。

茂木:そして、餌やり。これは我々来館者にとってはとても楽しみなんですけど、あれも色々とご苦労があるんですね。

なんかの菌:そうなんですよ。餌も本当にそれぞれで、形、種類、やり方が全然違うんですね。なのでそれに合わせて作ったり、時間も合わせなければいけないので、本当に大変だと思います。

茂木:現在、集英社インターナショナルより発売中の『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』。色んなサイン会やイベントでも水族館のお話をされていると思うんですけど、夏は特にお子さんからも色々と質問などが来たと思います。皆さんはどんな反応でしたか?

なんかの菌:そうですね。まず身内……元同僚からは、「本当にあるあるが詰まってる。すごい良かった」と仰って頂いたり。
それから、実は、読者としてお子さんを想定していなかったんです。ふりがなもあまり振っていなかったんですけれども、蓋を開けると、本当にお子様が読んでくださっていて、すごく嬉しいですね。

茂木:今回、なんかの菌さんのXに寄りますと、初刷りをかなり刷って、しかも重版が掛かったということで。どうですか? これだけ売れてるというと嬉しいですよね。

なんかの菌:嬉しいと共に、ちょっと怖いこともあります(笑)。

茂木:なるほど(笑)。どんな反応が聞こえてきますか?

なんかの菌:好意的なレビューとかを拝読すると、「水族館、こんなことしてたんだっていうのが分かって、水族館に行きたくなりました」という感想を頂いたこともあります。

茂木:恐らく、「水族館で働きたい」という人がたくさん出てきますよね。

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なんかの菌:そうだといいんですけれどね(笑)。水族館の職員になりたい人というのは、元々多いと思うんですけど、実際に働いてみるとなかなか難しい職業でもありますので、この素晴らしい職業をもっと広めていきたいという考えはあります。

茂木:日本は海に囲まれていて海の生き物というのは本当に大事ですし、やっぱり今の地球環境の変化なんかも海の生き物を見ていると分かったりしますから、すごく大事な社会への窓だと思うんですが。
色々と関わっていますけども、水族館の現状とか、これをもうちょっと変えた方がいい、というようなところはあるんですか?

なんかの菌:仰る通り、日本は水族館大国で、そして水族館の1人当たりの数がすごく多いようなんです。

茂木:あ、そうなんですか。

なんかの菌:そうみたいなんですけれども、その分、個性的な水族館がいっぱいあるんですね。その個性を伸ばしていって頂きたいな、とは個人的に思います。
それに、環境問題ですとか多様性についても、どんどん水族館から発信していかなきゃいけない時代だと思いますので、そういった役割も水族館さんが担って頂ければと思っています。

茂木:本当に大切な役割を果たしていらっしゃると思います。
作家のなんかの菌さんの初期作として、今回の水族館のめくるめくワールドを楽しんで頂けたらと思うんですが、なんかの菌さんのご著書『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』は、集英社インターナショナルより発売されています。ご興味を持たれた方は、是非手に取ってみてくださいね。
僕が一番最近行ったのが京都水族館だったんですが、ぼーっと見ていました(笑)。これからちょっと見方が変わりますね。皆さん、本当にこの一冊で水族館の見方が変わります。それぐらい素晴らしい本だと思います。
なんかの菌さん、このラジオを聴いて読むぞという人もいらっしゃると思うので、読者の方にメッセージをお願いできますでしょうか?

なんかの菌:はい。何も考えたくない時に読むのにすごく適した本で(笑)、さーっと楽しく読める本だと思います。

茂木:確かに、僕も寝っ転がって読んでいて、すごく楽しい気持ちになりましたね(笑)。癒された、と言うか。確かにそういうヒーリングのような、そういう本としてもあるかもしれないですね。

なんかの菌:ちょっと新しい道を考えます(笑)。

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集英社インターナショナル 公式サイト

※なんかの菌さんのイラストのぬりえがダウンロードが出来ます。
こちらをチェックしてみてください!

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