Dream Heart(ドリームハート)

土曜22:00-22:30 TOKYO FM/全国38局でON AIR 各局放送時間

REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.662 作詞家・小説家 児玉雨子さん 「今書きたいと思っていることを、1つずつ着実に書いていきたい」

2025年12月06日

今夜ゲストにお迎えしたのは、作詞家・小説家と幅広くご活躍されている、児玉雨子さんです。

児玉雨子さんは、1993年、神奈川県のお生まれです。

明治大学大学院に進学し、文学研究科を専攻、修士課程を修了されました。

作詞家としては、アイドルグループや声優、テレビアニメの主題歌やキャラクターソング、さらには Vtuberや近田春夫さんの楽曲まで、多岐にわたるアーティストへ詞を提供されています。

また、小説家としての評価も高く、2023年刊行の『##NAME##』は、第169回芥川賞の候補作にも選ばれました。

ジャンルを越えて、言葉が持つ可能性を追い続けているクリエイターでいらっしゃいます。


null


──小説は腰を据えて向き合える場

茂木:最初、作詞家デビューが先だったんですか? 小説家とどちらが先でしたか?

児玉:デビューは作詞の方が先ですね。きっかけとしては小説なんですけど、高校生当時、文学賞の新人賞に応募して、高校生がいきなり…という感じで。まぁ、高校生は純文学の賞が多いんですけどね。それで、名前も面白いし、とちょっとお声掛けいただいて、テレビ局のオープニング主題歌の作詞をしたことがきっかけでした。

茂木:じゃあ、その新人賞の応募がきっかけで作詞をされて、そこに才能があったんですね。

児玉:本当にありがたいことに、運が良かった、と言うか。当時は、今のアイドルブームよりちょっと前の、2000年代のアイドルブームが過熱していた時だったので、波が来て、それでお話をいただきましたね。

茂木:作詞家として大事にしてること、と言うか、作家性というのはどこら辺にあるんでしょうか?

児玉:難しいですね。作詞家というのは、人から思われる以上に、下請けなんです。例えばタイアップものだったら、スポンサーの…。

null


茂木:拘束条件があるわけですよね。

児玉:それがたくさんあったり、あとはCMなどでは薬機法とかがあったり。

茂木:「効く」のような言葉を使ってはいけない、ということですよね。例えば「元気になる」、とか。

児玉:そうです。「元気になる」は絶対に駄目です。それと、面白かったのがデンタルケアのウェブCMのお話で、「白くなる」という言葉が駄目だったんですよね。「ピカピカになる」も駄目なので、結構大変でしたね。

茂木:僕は昭和の人間なので、よく「白い歯っていいな」というコマーシャルを見ましたよ。

児玉:そうなんです。昔はあったんですけど、今は「白い歯」というのが駄目なので、比喩表現として、例えば「笑う」という意味で「白い歯を見せる」という言葉を入れたら、「ちょっとここは…」というふうに(指摘された)。

茂木:そういう色んな制約がある中で、クリエイティブをやっていらっしゃるということなんですね。
どうですか? これからも小説を書かれていくんでしょうし、作詞もされていくんでしょうけど、どういう感じで表現を続けていかれますか?

児玉:来年以降は、もう少し小説を(書いていきたい)。シンプルに、「これを書きたい」「あれを書きたい」といろんな人に言い過ぎて、言ったのに約束を守っていない状態になっているんですよ。人から信頼を失いそうなので、来年はきちんと書こうと思って、今本当に反省しています(笑)。

茂木:作詞はコンスタントにされていらっしゃるわけだから。

児玉:そうですね。作詞は、ポンと反射するようにアイディアを出せるんですよ。それが今、裏目に出ています。

茂木:ああ、そうですか。小説はまたちょっと違ったモードなんですね。

null


児玉:はい。きちっと書いていかなければいけないのに、「あ、このテーマ面白いですよね。書きますよ」という感じで、作詞みたいなノリで言ってしまうんです(笑)。なので、来年はその約束を守りに行く年にしようと思っています(笑)。

茂木:でも、児玉さんのファンも喜んでいますよ。たくさん作品が読めるんだな、と。

児玉:頑張ります!

茂木:ぜひ、皆さんご期待ください。
作詞以外の“小説を書く”ということは、児玉さんご自身にとってはどんな意味を持つと思われますか?

児玉:作詞というのは、広がっていくキャッチーなものがないと書けないんです。ですけれど、小説だと、1人の人だったり、1つの物語だったりテーマに、深く、じっくり腰を据えて向き合える場であるので、私自身が、ある種、世間と言うか、流行みたいなものに振り回されず、丹田に力を込めて立てる場所だと感じています。

茂木:おお、「丹田に力を込めて立てる」。

児玉:はい(笑)。“体幹がしっかりできる”と言いますか。

茂木:やはり小説家の言葉ですね。次回作が楽しみです。

──児玉雨子さんの『夢・挑戦』

茂木:児玉さん、この番組のテーマは『夢と挑戦』なのですが、今後の『夢・挑戦』は何でしょうか?

児玉:今書きたいと思っていることを、1つずつ着実に書いていきたい、というのが夢であり、ある種、挑戦でもありますね。大きな夢じゃなくて小さいことを1個1個やっていくだけでもいいのではないかなと、私は思っています。

null


null



■プレゼントのお知らせ

番組でご紹介しました、児玉雨子さんのご著書『目立った傷や汚れなし』に、児玉さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームよりご応募ください。

私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



児玉雨子 (@kodamameko)さん 公式 X(旧Twitter)


青山ブックセンター 公式サイト
↑『目立った傷や汚れなし』刊行記念
 児玉雨子(作詞家・小説家)×寺嶋由芙(ソロアイドル)トークイベントの詳細は、こちらの「青山ブックセンター」公式サイトをご覧ください。

●目立った傷や汚れなし / 児玉 雨子 (著)
(Amazon)


児玉雨子さん 公式サイト


河出書房新社 公式サイト