2017.08
21

【学生コラム】美術展、心でみるか、スマホでみるか

こんにちは、慶應義塾大学4年の水町夏子です。
未来授業に参加するのは、今年で4年目になります。

1、2年目は参加者として。3年目以降は学生委員会として。

この記事を読んでいる方の中には、『未来授業』を今回初めて知ったという方もいらっしゃると思いますが、
今年新たに始まったイベントではなくて、実は2010年からスタートしてもう7年目を迎えます。
私も、1年生の頃から毎年参加をして、今年で4年生になりましたが(いよいよ来年、社会人です!)、
初回から参加していた方はすでに社会で活躍している人も多いのではないでしょうか。
未来授業で得た知識や経験などが、どんな形かで活かされていると嬉しいなと思います。

これから社会へ羽ばたく大学生の未来へのヒントやキヅキに繋がることを期待する未来授業ですが、
これまでに開催された未来授業の講義も、
参加した学生の皆さんの声も、未来授業ホームページに残されているので、ぜひ見てみて下さい!

今聴いても、改めて発見のある講義や、
また、私たち学生委員会が来場学生にインタビューした取材記事も掲載されています。



「夏子」という名前によらず、
夏になるともっぱらインドア派の私なのですが、
先日は六本木の新国立美術館で開催されている『ジャコメッティ展』に行ってきました。



会場の様子です。



以前は美術館での撮影は禁止というものが多かったですが、
最近はこうした有名な作家の展覧会であっても、一部撮影OKになっていることが増えてきました。

私の幼い頃の記憶だと、美術展の会場って妙に厳粛な空気が漂っていたように思いますが、
今は皆がスマホを取り出して、作品をパシャパシャと写真に収めていくのが許されるなんて、とても不思議です。
(おしゃべりはあまり良い顔されないままなのに)

「写真撮って“いいよ”」と言われると、「せっかくだから撮っておこうか」となり、「せっかくだからツイートしておこうか」となるのが、イマドキの人間の性で、私もこうして撮ってきた写真を、皆さんにお見せしているわけで、“撮影OK”は、素敵なものを自分の手元に置いておきたい、そして他の人に見せたいという、人間の心の動きに上手く入り込んだ展示だと思います。
逆に、拡散効果・人の手による広告効果を狙い、あえてinstagramやtwitterなどでの投稿を狙う企画すらうまれているのは、現代ならではの動きかと思います。

AI・人工知能が台頭し、労働などの転換が行われても、「人の創造力に価値を与える芸術の分野は変わらず残る」という話もよく聞きますが、作品をスマホの中に撮り収めることが広く認められるようになったことは、テクノロジーの発展によって、芸術分野における考え方が変化していることを表しているのではないでしょうか。



とはいえ、みんながみんな、そうした新しい潮流を好んで取り入れるわけでもなく。

隣で展示を見ていたおじいさんは、一瞬カメラを向けたのを止めて、じっと作品を見つめて去って行きました。

私も、唯一無二の本物の作品だと考えると簡単に写真にしてはいけないような気がしていたのですが、小中学生くらいの子がまったく抵抗ない様子で連写をしている様子をみて、「あ、全然気にしなくていいんだよね」と思えました。

世代なのか、個々の感性の違いなのか、受け止め方は人それぞれのようです。



世界中で起きているテクノロジーの発展は、新しい商品として生活に浸透したり、そのことによって、社会の在り方やシステムを変えたり、ニュースで伝えられたり、ハード面であれば目に見える形で知ることができますが、
それを人がどう感じたか、違和感があったか、便利になって良かったかなどの人々の価値観の違いは、やはり人と話してみなければなかなか気づけないものです。

その小さな考え方の違いを並べてみると、人間の価値観の変化が見えてくるかもしれません。

未来授業でも、価値観も異なる多くの参加者と講師の方が、それぞれの考えをぶつけながら、一緒になって授業を作り上げていきます。

隣に座っている人と自分との違いを実感してほしいと思いますし、さらに、講師の方に私たちの価値観を伝えるんだという思いで会場に来て頂きたいと思います。

会場でお会いしましょう!
お申し込みはこちらから。

(文責:慶應義塾大学 経済学部4年 水町夏子)

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