昨日から「令和5年 春の全国交通安全運動」が始まりました。
期間は来週土曜日 5月20日まで。
今回は先週同様、警察庁 交通局 交通企画課 安全係
渡邉 恭介さんにお話をお聞きして
その大切なポイントをお伝えする後編をお送りしました。





今週は3つある重点ポイントのうち
最後の「自転車のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底」。

去年の道路交通法改正で自転車のヘルメット着用の規定が変わったこと
日頃、自転車を乗っている方は知っているでしょうか。
4月1日からは全ての自転車利用者に
乗車用ヘルメットの着用努力が義務化づけられました。

その理由はもちろんヘルメット着用の有無によって
交通事故に遭遇した時の危険度が大きく変わるからです。

自転車乗用中の交通事故で亡くなった方は
平成30年から令和4年までの5年間を見ると
約6割が頭部に致命傷を負っています。

また、令和4年中に発生した自転車乗用中の交通事故において
ヘルメットを着用していなかった人の致死率は着用していた人に比べて約2.6倍です。
         
交通事故の被害を軽減するためには頭部を守ることがとても重要。
日常生活で自転車に乗るときもヘルメットを着用して保護しましょう。





そして、去年11月には自転車安全利用五則も改訂されました。
自転車安全利用五則は自転車に乗るときに守るべきルールのうち
特に重要な部分を取り上げたもの。

1つめは「車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先」
道路交通法上、自転車は軽車両と位置付けられています。
従って車道と歩道の区別があるところは車道通行が原則。
そして、道路の左側に寄って通行しなければなりません。
歩道を通行できる場合は車道寄りの部分を徐行する。
歩行者の通行を妨げる場合は一時停止する。

2つめは「交差点では信号と一時停止を守って、安全確認」
信号機のある交差点では信号が青になってから安全を確認して横断。
歩道を通行できる場合は、歩行者・自転車専用信号の青が点滅していたら
横断を開始せず、次の青まで待ちましょう。
一時停止のある交差点では、必ず一時停止をして安全を確認してから横断します。
          
3つめ「夜間はライトを点灯」
夜間はライトを点けなくてはいけません。
自転車に乗る前にはライトが点くか点検しましょう。
          
4つめ、「飲酒運転は禁止」
自動車の場合と同じくお酒を飲んだ時は運転してはいけません。
          
そして、5つめが「ヘルメットを着用」
また、幼児二人同乗用自転車の幼児用座席の「シートベルト着用」も徹底しましょう。





悲惨な交通事故を減らすためには歩行者、自転車利用者、自動車運転者、
一人一人が交通安全を自分の問題と捉えて交通ルールを守ることが肝要。
ドライバーは思いやりの気持ちや譲り合いの気持ちを持った運転を心がけ
特に歩行者の安全には注意を払って下さい。

また、交通事故を無くすには関係団体、地域との連携が必要。
社会で協力して1つでも交通事故を減らしましょう。



来週の木曜日5月11日から「春の全国交通安全運動」がスタートします。
期間は5月20日 土曜日までの10日間。

今週と来週は警察庁 交通局 交通企画課 安全係
渡邉 恭介さんをゲストにお迎えして大切なポイントをお伝えします。





去年令和4年に交通事故で亡くなった方は2,610人。
6年連続で最少人数を更新して前年から26人減りました。
重傷者数は26,027人で、これは前年から1,177人の減少。

ただ、注目したいのは歩行中の死者数が増えていること。
そして、65歳以上の高齢者の歩行中死者数は減少傾向を維持しているものの
歩行中死者全体の7割以上を占めていること。

また、自転車と歩行者の事故で歩行者が死亡、
もしくは重傷を負った事故も増加しておいて
その約4割が歩道で発生しています。
自転車側の法令違反を見ると前方不注意や安全不確認など
安全運転義務違反が約7割を占めています。


  


こうした傾向を踏まえた上で
今回の春の全国交通安全運動」の重点ポイントは3つあります。


1)こどもを始めとする歩行者の安全の確保

2)横断歩行者事故等の防止と安全運転意識の向上

3)自転車のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底  



1つ目の「こどもを始めとする歩行者の安全の確保」は去年と同じ項目で
歩行中の死者数が増えていることが、その主な理由です。
特に5月から6月にかけて、歩行中の児童の死者・重傷者が増加傾向にあること、
そして、児童の死者・重傷者は登下校中の時間帯が多いということもあり
去年に引き続いて重点ポイントとなっています。

65歳以上の高齢者の状態別死者数では
歩行中が約48%と全年齢層の割合・約37%より高い。
そして、日本は欧米諸国と比べて交通事故死亡者に占める
歩行者の割合が高いという特徴があることを覚えておいて下さい。

横断中に事故に遭って亡くなる方の多くには
横断歩道外の横断や車両の直前直後の横断があります。
近くに横断歩道がある場所では必ず横断歩道を渡りましょう。
そして、歩行者が自らの安全を守るため、手を上げるなどして
運転者に対して横断する意思を明確に伝えることが大切です。
その上で安全を確認してから横断を始め、横断中も周囲の安全を確認します。
こうしたことを子どもに対しては日常生活や教育現場で
保護者や教育関係者が繰り返し指導することも重要です。





そして、重点ポイントの2つ目
「横断歩行者事故等の防止と安全運転意識の向上」について。
  
横断歩道では、歩行者がいないことが明らかな場合を除き、
クルマは横断歩道の直前で停止できるスピードで走行する義務があります。         
また、横断歩道に向かっている歩行者が横断するかはっきりしなくても
横断歩道の前で一時停止して横断意思の有無を確認して進行します。
ドライバーの立場でいる時は常に歩行者優先であるということを
肝に銘じてハンドルを握るようにして下さい。





来週は「令和5年 春の全国交通安全運動 後編」です。

明日からはゴールデンウィーク。
クルマで出かける方も多いと思いますが、この時期に避けられないのが高速道路の渋滞。
今週は高速道路で渋滞が起きるメカニズムと渋滞中の運転のポイントをお伝えしました。





今回、お話を伺ったのは東京大学 大学院 工学系研究科 渋滞学が専門の西成 活裕教授。
西成教授によると高速道路で渋滞が起こる一番の原因は坂道。
道路が混雑してくるとドライバーは車間を詰めて運転してしまいます。

車間距離が縮まれば、前の車が少しブレーキ踏むと、後ろの車もすぐブレーキを踏む。
その連鎖が渋滞に繋がりますが、坂道の場合はブレーキを踏むタイミングが遅れ、
その遅れは後ろにいくほど増幅して、どこかの段階では停まらなざるを得なくなり、
渋滞が起きてるのです。





西成教授によると、ポイントは「車間距離40メートル」。
40メートルあれば、前の車のブレーキランプが点いても
すぐにブレーキを踏まずに済みます。
その余裕ある距離が渋滞を起こりにくくするのです。

ドライバーの心理と裏腹なのは皮肉ですが、
高速道路の渋滞は事故へとリンクしていきます。
それも渋滞を回避したい理由でもあります。





渋滞中の事故で一番多いのは追突。
渋滞に巻き込まれると自分ではどうしようもないために投げやり気持ちになる。
そうすると運転の反応が鈍くなり、前の車が急に減速した時に
後ろから突っ込んでしまう衝突事故が起きやすいのです。

また、イライラしてる時に頻繁に車線変更をすることも事故に繋がります。
「隣の車線は速く見える」という現象があり、
急な車線変更が他の車にブレーキを踏ませて渋滞を悪化させ、
衝突の原因にもなります。

データを見限り、渋滞時の車線変更はいいことがないそうで
車線をそのまま進行した方が早く着くという事例もあります。
渋滞時には車線変更をしないほうが賢明と言えるでしょう。





その他に出来ることは渋滞の最後尾につきそうな時は、
なるべくゆっくりと近づいていく。
そして、渋滞予測をチェックして、出発時間を調整する。
そんなことが渋滞を生じさせない一助になります。

また、渋滞に巻き込まると諦め気分になあって
前の車が動いてもなかなか動かない車がありますが、
それを多くの車がやると渋滞は長くなる一方。
高速道路の渋滞は実は平均時速20キロほどは出ているので
流れに合わせてゆっくり走るよう心がけましょう。

そして、渋滞後尾につきそうなときはスローインですが、
渋滞から抜け出る時はファストアウト。
なるべくサッと走り出すことが、渋滞を緩和させるコツの1つ。
      
西成教授のお話を聴いてみると、高速道路の渋滞時、
他のドライバーは協働して渋滞を生まない「同士」です。
一緒に渋滞と事故を避けましょう!




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