第24回 STOP! 居眠り運転

2015/09/10

もうすぐシルバーウィーク。
クルマで遠出をする方も多いでしょう。
そんな時に気をつけなければいけないのが「居眠り運転」。
今回は『STOP ! 居眠り運転』。

コメントは富山県 高岡市 雨晴クリニック 副院長で
日本睡眠学会の坪田聡さんでした。

居眠り運転が危険だというのはデータにも表れています。
日本で、クルマの死亡事故は人身事故全体の1.2%。
ところが居眠り事故のほぼ 6% が死亡事故。
運転中のウトウトは『死』に繋がる可能性が高まります。

居眠り運転をしないために、まず大切なのは運転する前の睡眠時間。
睡眠を制限したグループとアルコールを飲んだグループで居眠り運転の危険性を調べた実験。
いつも8時間寝ている人が睡眠時間を2時間減らすだけで、
体重1kgあたり0.54gのアルコールを飲んだのと同じ眠気が起きます。
この体重1kgあたり0.54gのアルコールというのは、
日本の道路交通法で酒気帯び運転、あるいは酒酔い運転と認められるレベル。
つまり、睡眠時間を削られると酒酔い運転と同じ位に、
運転パフォーマンスが落ちると考えられるのです。
ですから運転前にしっかりと睡眠はとって下さい。

ただ、しっかり睡眠をとっても、眠くなることがあるかもしれません。
しっかり睡眠をとりたくても、とれないことがあるかもしれません。
自分自身のシグナルを見落とさないようにしましょう。
眠気があなたを誘っているのはこんな状態の時。

注意力が落ちてくるので、信号や交通標識、案内板などを見落とす、
見つけるのが遅れる、運転の技術が落ちてしまうのでフラフラしたり、
前の車との車間距離が詰まる、瞬きの回数が増える・減る、度々、あくびをするようになる・・・
こういう状態になったら休息するようにしましょう。

居眠りには危険な時間が2つあります。「午前3時 〜 4時」と「午後3時 〜 4時」。
ともに人間の眠気が強くなる時間帯。そのことを覚えておいて下さい。
また、天気でいうと、日光が眠気を妨げる晴れの日や緊張感が生まれる雨の日よりも
曇りの日に居眠り事故は多く起こります。

運転中の「眠気撃退法」はいろいろあります。
ガムを噛む。歌を歌う。
リズムのある運動をすると脳を目覚めさせてくれる覚醒系の神経が活性化します。

車を止めてストレッチングをしたり、体の血液の循環を良くしましょう。
脳の血液の量も増えて脳細胞が活性化して眠気が覚めてきます。

冷たい刺激を受けると交感神経が刺激されて目が覚めてきます。
これからは寒くなるので、運転中に窓を開けて、空気を取り込んだり、
冬になったら暖房を切ったりして室温を下げると良いでしょう。

香りを嗅ぐ事も有効です。
ローズマリーやペパーミント、ユーカリの香りには眠気を減らす働きがあります。
また、明るい光を浴びると眠気が減ります。
光は体内時計を調整したり、睡眠ホルモンのメラトニンを減らす働きがあります。
夜ならコンビニややサービスエリアに寄ってみると良いでしょう。

さらに運転中は同乗者と会話をすると、眠気が減ります。
人との会話は覚醒ファクターと言われているほど眠気には有効です。

食べ物や飲み物で有効なのは甘いものやカフェイン。
脳の唯一の栄養源がブドウ糖。
もともと「おやつ」は昼間の眠気を飛ばす為の習慣でした。
甘いモノで血糖値を上げると脳が元気になって覚醒度が上がります。

またカフェインには覚醒効果があります。
目覚めている時間に比例して脳に睡眠物質が溜まってくるもの。
カフェインで睡眠をブロックすることも有効です。
ただし、カフェインは摂取してから覚醒効果が出るまで、
15分〜30分ほどのタイムラグがあるので早めに摂ることが大切です。

しっかりとした睡眠、眠くなる環境への注意、眠気の認識・解消法。
今日お伝えした情報の全てを生かして「STOP! 居眠り運転」に取り組んで下さい。