第29回 交差点の危険性

2015/10/15

クルマを運転していつも通る交差点、初めて通った交差点、
「ここは何か危ないな」と感じることはありませんか。
今週は公益財団法人 交通事故総合分析センター 研究部 
西田泰さんにお話を伺い『危険な交差点』を追跡しました。

交通事故が多い交差点はあります。
でも、交通事故が多い交差点とその交差点の危険性の高さは別の事。

交通事故は交通量と危険度の積であらわされます。
危険度が1で交通量が1,000の場合なら1,000件の交通事故が起こるとして
危険度が10の交差点でも交通量が10であれば起こる事故は100。
危険度が10倍の交差点のほうが事故件数では10分の1ということもあるのです。

交通事故が頻繁に起こる交差点よりもあまり起こらない交差点に、
本当の危険が潜んでいることが少なくありません。
どの交差点も気をつけなければいけませんが、
本当に危ない交差点で、より気をつける必要があります。
そうした「危険な」交差点にあるのは構造や環境の問題。

交差点の形が悪いと交通事故の危険性は高くなります。
トの字のように角度が鋭角な交差点だと見えにくい交差側が生じて
安全確認も不十分となって事故の危険性は増します。

他にも、周囲に建物があると交差側の交通状況が見えず危険は増します。
高速道路や陸橋を支える橋脚の存在も影響があります。
さらに交差点の中は信号機や標識等で交通整理をするもの。
木が生い茂ってしまって標識や信号が見えにくくなる状況は危険性を増します。

その他、標識や信号機の位置も、場所によっては非常に見えにくくなり、
停止線に止まった時に見上げなければならない状況も危険が多いといえます。

西田さんによると、上記のようなことは、多くの交差点で対策が実施されています。
つくる時、改良する時、安全基準マニュアルがあるからです。
ただ、事故が多い交差点、大きな交差点は、対策がとりやすいものの、
危険であるにも関わらず、事故が少ない交差点は、
対策がとりにくく、改善されていないこともあるので気をつけましょう。

覚えておいて欲しいのは「ここは何か危ないな」と感じる交差点がある場合、
警察や行政に伝えることで「危険」が改善される可能性があること。
近くの警察署や市役所の道路の管理所に行き、
写真を見せる、意見を述べる、ことができます。

行政側は事前調査で、より安全な環境づくりを図りますが、
施工あとに交通量が変わるなど予期せぬ変化も発生します。
そういう時には、市民から「ここはおかしい」と意見することで、
利用者側の目線から具体的な対策が立てられやすくなります。
積極的に提案してみて下さい。