第35回 二輪車用プロテクター

2015/11/26

交通事故死者数の構成比率を見ると「歩行者」「四輪車」に続くのが「二輪車」。
この10年、毎年17%前後を占めています。
二輪車については、ヘルメットの着用が、ずいぶん徹底されました。
でも、それだけでは十分ではありません。
今回は、いま警察がライダーに強く使用を呼びかける「二輪車用プロテクター」を追跡しました。

コメントは警視庁から「プロテクター普及推進隊」を任じられている
オートバイ用品専門店 ナップス 世田谷店のプロテクター担当 高添晃一さん。

警視庁による平成22〜26年の統計では
交通事故で死亡した場合の主な損傷箇所は頭部が圧倒的に多く47.4%。
それに続くのが胸部28.4%。

胸部に関しては、追突事故を起こした場合、車のルーフや、建物り、ハンドル、
胸からぶつけて心臓、肺、場合によっては、腹部も強く打ってしまい、
内臓を損傷してしまって・・・という事もあります。
ちなみにこの腹部は主な死亡損傷箇所原因では7.1%です。

つまり、二輪車乗車中の死亡事故で「頭部」に次ぐ主な損傷箇所の2位と4位、
「胸部」と「腹部」を足すと35.5 %になります。ところが、去年の神奈川県の例ですが、
二輪車の交通事故で亡くなった62人のうちプロテクターをつけていたのはわずか3人。
警視庁の去年の調査でもプロテクターの着用は7.2%という結果。
「普及」には、とても遠い状況です。

いま増えているのが、若い時に二輪に乗っていた人が、
40代・50代になって再びオートバイライフを始める、いわゆる「リターンライダー」。
そのせいもあってか中高年の二輪車での事故が増えています。
四輪のドライバーは、事故の時、車体やエアバッグで守られるもの。
しかし、二輪のライダーは、身体が直接ダメージを受けてしまいます。
特に胸部プロテクターの着用を習慣づけて下さい。

高添晃一さんによると胸部のプロテクターは、まず自分自身に身に付けるタイプがあります。
ベストタイプのような形でライディングウェアの中に着るようなプロテクターです。
それは、いわゆるハードプロテクター。
服の上からでもつけているのがが分かってしまうのでスタイリッシュではないというなら、
もう1つのタイプ、ソフトプロテクターもあります。
これはジャケットに装着するもの。

そして、二輪車に乗っている時の死亡事故で
損傷した部位の3番目に多いのが頸部、首の部分。
その頸部も含め、全身を守ってくれるプロテクターがあります。
hit-airというブランドが出している二輪用の装着するエアバッグ。

これはいちばん上に装着するもの。
ベストタイプ、普通のジャケットタイプ、色々と種類があります。
エアーボンベがジャケットの中に装着されていて、
これはサイズによって中に入っているエアーの量も変わってくるのですが、
まず、オートバイにワイヤーを固定します。
そのワイヤーがジャケットの方の「キーボックス」、
エアーボンベが入っている装置に繋げます。
もしも、事故が起こった場合、バイクから投げ出された瞬間に、
キーボックスに付いている「キーボール」というのが、
ポンッと抜けて、その瞬間、コンマ2秒でエアーバッグが作動します。
ボンベは、ジャケットの中の毛質の中に送り込んで、
胸部、首回り、背中、脇腹、尾てい骨のあたりまで広がります。

ただ、二輪用エアバッグはバイクと身体が離れないと作動しません。
バイクと一緒に転倒したり、追突事故でハンドルに身体を強打したり、ということもあります。
「胸部プロテクターはつけたほうがいい」と高添さんはおっしゃっていました。

また、胸部プロテクター以外にも肘や肩、膝や脛、脊椎といった部分的なプロテクターもあります。
二輪に乗る方は、自分のバイクライフにあったプロテクターを探すようにしましょう。

スクーターやオートバイに乗っている方は、
これをきっかけにプロテクターについて、いちど真剣に考えてみて下さい。