第57回 クルマの運転と災害の対処法 後編

2016/04/28

今週は「クルマの運転と災害の対処法」後編。
国際モータージャーナリスト 清水和夫さんのコメントでお送りしました。

燃料費節約とCO2排出削減のため、
ふだんガソリンを満タンにしない方もいるかもしれません。
しかし、災害に対する備えでは「満タンに近いほどがいい」のです。

元プロのレーシングドライバー、安全運転インストラクターをつとめる
清水和夫さんも燃料はできるだけたくさんある状態にしておくといいます。
自動車は動かなければ鉄の塊。
自分が乗れないだけでなく、まわりからすれば迷惑なもの。
いつでも動かせる状態であることが望ましいのです。

「クルマが走れるようにしておく」という意味では、
11月には冬用のタイヤに履き替えましょう。
最近の冬は、これまでは降雪がほとんどなかった地域に、
たくさん雪が降ることもあります。「備えあれば憂いなし」です。

そして、災害に対しては装備こそ重要。
SUVの四輪駆動に乗っている清水さんは、
他のクルマを引き上げるための牽引ロープ・懐中電灯、
怪我の応急処置をするための包帯・止血剤・ゴム手袋を積んでいるといいます。

それから水害に際して役に立つシートベルトカッターとフロントガラスを簡単に割るハンマー。
クルマに乗っていて水に飲まれてしまうと水圧でドアが開かなくなります。
右ハンドル車で左腕を骨折してしまうと、シートベルトを外せなくなります。
そんな時でも、フロントガラスハンマーでガラスを割り、
シートベルトカッターでシートベルトを切って脱出するためです。

さらに2年前に山梨で大雪が降り、
中央高速で車の中に2、3日留まらなければいけない人たちが出た、あの時以来、
毛布と暖をとれるものを積んで置くようにしているそうです。

車のタイプとしてはプラグインハイブリッド車は電源の供給元となることができます。
しかし、普及しつつある電気自動車は、充電できなければ動かすことができません。

クルマは災害時に危険から逃げる手段。
でも、それだけではありません。
生き延びるための道具を積んでおける倉庫替わりになり、
動けない時や、動かないほうがいい時に、避難所になります。
そうしてイメージを持って、必要なものを備えておきましょう。
災害が起こった時をシミュレーションして、
どうしておくべきか? いちど、よく考えてみて下さい。