第61回 タイヤが担う安全性(前編)

2016/05/26

クルマを所有している方。
タイヤのチェックとメンテナンスにどのくらい注意を払っていますか?
車のパーツの中で、交通安全のため、タイヤは特に大切です。
これから梅雨に入り、道路が滑りやすい季節。
タイヤの重要性を認識しましょう。
今週から2回にわたるテーマは「タイヤが担う安全性」。

コメントは自動車評論家の菰田潔さん。
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員をつとめる薦田さんは、
安全運転の啓蒙活動をするとともに交通安全についての著作もあります。

菰田さんの印象では一般のドライバーはあまりタイヤに注意を払っていないとのこと。
しかし、それは間違い。タイヤは車の走行において唯一のパーツだと指摘します。
「車と地球を繋いでいるのはタイヤ」
そして、車の走行ということでいえば
「アクセルを踏んで進む、ハンドルを切って曲がる、ブレーキを踏んで止まる、
走る・曲がる・止まるの三大要素はタイヤがなければ実現できません」
だから「タイヤをしっかりチェックし、良いタイヤをつけることは安全に走るために最も必要なこと」なのです。

タイヤについての最重要チェック項目は「空気圧」。
年々、向上するタイヤの性能。
しかし、膨らませた風船が少しずつ萎んでいくように、タイヤの空気が抜けるのを止めることは出来ません。
一般的に空気圧のチェックは「1ヶ月に1回」と言われますが、菰田さんが推奨するのは2週間に1度。

それはなぜかというと、8割のパンクがスローパンクチャーなのだそうです。
「釘が刺さった瞬間にパンクが起こるのではなく、だんだんだんだん空気が抜けていく。
2週間に1回、空気圧のチェックをしておくとタイヤが1つだけ少し空気が足らないかなと思うと
もうしかしたらスローパンクチャーが始まっているかもしれない。
そういう時にタイヤ交換をすれば、あまり忙しくない時、
危なくないところでタイヤの交換が出来るという点で非常に大きなメリットがある」からです。

そして、パンクの可能性がなかったとしても、
タイヤの空気圧が下がれば多くの危険が生じてきます。
例えば「ブレーキを踏んだ時の効きが悪くなる」「カーブを曲がっている時に車が不安定になる」
「タイヤの摩耗が早くなり、タイヤが損傷しやすくなる」など。

空気圧のチェックは殆どのガソリンスタンドで出来ます。
空気が足らなければ入れることも可能。
2週間に1度の空気圧チェックを心がけましょう。

そして、タイヤのもう1つのポイントは「溝の深さ」。
新品の時、溝は深さ8.5mm〜8mm。乗るごとにタイヤはすり減って溝がなくなります。
車検はこの溝が1.6mmあれば通りますが菰田潔さんが薦めるのが、
新品の時の半分、4mmほどになった時のタイヤ交換。

「なぜかというと雨の日の高速道路で走った時にハイドロプレーンが起きやすくなってしまう。
60キロ〜70キロでもハイドロプレーンが起きる可能性があります」とのこと。
これからの雨の季節、充分に気をつけたいところです。

タイヤの溝の深さの測り方は「目視する」。
デプスゲージと言ってタイヤの溝の深さを測る道具もあります。
あるいはコインで測ることも可能。
みなさん、この機会にタイヤの重要性を再認識しましょう。
来週は後編です!