第67回 クルマの安全性に対する考え方(後編)

2016/07/07

クルマの安全性に対する考え方の後編です。
先週、お伝えした安全装置をなるべく導入する上で推奨するアイテムを
もう少し詳しく説明すると

【自動ブレーキ機能】
「ミリ波レーダー」や「カメラ」や「赤外線」を使って、
障害物や人間を検知して衝突を回避してくれるもの。
これはここ数年でかなりポピュラーになり
わかりやすいという意味で導入を考える人が多いことでしょう。

【サイドエアバッグ】
運転席や助手席の両側に備え付けられ、乗る人を側面衝突から保護するもの。
       
カーテンエアバッグ 
自動車内部の両側面に備え付けられていて、衝突時には窓を覆うようにふくらみ、
乗る人の側面衝突、車外への飛び出し、ガラスの飛散によるケガを防ぎます。

交通事故による死亡者数の推移を見ると安全性に対する意識は確実に高まっています。
ただ、これは誰もがクルマの機能や性能に詳しいわけではない、
一般ドライバーだけの努力や意識改革だけでは実現できません。
行政の施策と自動車メーカーの取り組みも欠かせないのです。

モータージャーナリスト 岡崎五郎さんは、こう指摘します。
ぶつかった時の安全なボディとかぶつからないようにする為のハイテクが出てきて、
その結果として交通事故死亡者数が劇的に下がってきた。
それはドライバーの安全意識が高くなってきたことの一報で、
道路が良くなった、歩道と車道が分離された、シートベルトの装着率が高くなった、
飲酒運転に対する取り締まりが厳しくなったという、
国を上げて交通事故を減らすという取り組みがあったから。
つまり行政が牽引した力も見逃せないわけです。
それでも、まだ4千人が1年に亡くなっている。
これは由々しき問題でゼロを目指さないといけないのです。

さらに岡崎五郎さんは自動車メーカーに、
今以上に安全性の向上に貢献することを期待しています。

エアバックはぶつかるとドーンと風船が開いて、
体が守られるんだなというのがイメージしやすいもので早く普及した。
それに対して一般ドライバーの方が想像力を持ちにくいものはなかなか普及しない。
数万円のお金を払う事に二の足を踏むドライバーが多ければ、
付けなくても良いかとメーカーもとらえて、
元来は付いていたものをオプションに変えたり、
オプションですら用意しなかったりということもあるそうですが、これは間違い。

一般ユーザーのすべてが1つの装置が安全性を高めるのに
どれだけ有効なのかを判断するのは難しいわけで、車作りのプロたる自動車メーカーは、
これはこういう時に安全性を高めるというアピールをして普及に務める義務があるといいます。

そして、岡崎さんはマスメディアにも、
交通事故について、有意義な情報発信の必要性を、指摘します。

車の事故で亡くなる人の数は大災害に匹敵するレベル。
それにも関わらず事故の概要だけが報道されて、
なぜその事故が起こったのか、どうすれば避けられたのか、という情報に乏しい。
事故が起こると綿密な調査がされて安全性を高めてきた航空業界のように、
自動車に関しても情報を得た人が同じ間違いを繰り返さない内容を発信するべきだと。

メーカーがより安全な車を作る。
国がより安全な交通環境をつくる。
一般ドライバーが、より安全な車を選び、安全な運転をする。
三位一体の努力によって1つでも交通事故を減少させたいものです。