第86回 フリッカー値で交通事故対策 後編

2016/11/24

     ー 前編から続く ー 

今回は「フリッカーテスト」という
心理学・生理学的な数値を利用する交通事故防止策を追跡する後編。

フリッカー値による疲労計測を、
雇用するドライバーの交通安全に活かせないかと考えたのが、
東京 武蔵野市 東京ユニオン物流株式会社 安全環境衛生室に勤め、
交通心理士でもある 岡本秀郎(おかもと・しゅうろう)さん。

現在、運送業を営む会社はドライバーの健康や疲労を
点呼時に確認することが義務づけられています。
しかし、それはどうしても自己申告に頼ることになってしまい、
自分の疲労をきちんと把握しているか?
疲労があると思っていても正直に管理者に報告をするか?
という2つの問題がありました。

その壁を取り払わないと本当の事故防止には繋がらないと。
疲労を客観的に測る簡易的なシステムが無いか探していたところ、
岡本さんはフリッカーヘルスマネジメント株式会社 
代表取締役 原田暢善さんが開発したアプリにいきあたったのです。

そこでメールを送ったことから2人は直接会い、
原田さんは、その時点の技術を、岡本さんと意見交換をして改良。
Flicker Health Management System(FHMシステム)を確立させました。

東京ユニオン物流では、
このFHMシステムを交通事故防止に利用し、
長い営業所では3年になるといいます。

使用は朝と夕方の点呼時。
疲労を数値化して計測値も出ますが、
その人の過去の計測値から算出した標準値に対して、
どれだけ落ちたか? を評価して「疲れています」「元気です」
「管理者に相談しましょう」という判定までしてくれます。
それを基に点呼する人が実際に面談をして判断するというように
東京ユニオン物流では補助的な情報として使っているそうです。

やはり、こうしたシステムは得られた情報を、
どう取捨選択してどう生かすのかが重要なポイント。

東京ユニオン物流では去年1年間のデータを解析。
朝のフリッカー値と1日走った走行の正確さというのに相関があるとか、
急フレーキの回数と相関があるとかが出るので
そこから事故防止に繋げられると考えていると
岡本さんはおっしゃっていました。

国交省は今、疲労に対する事故の対策に、
補助金を供出したりして高度な管理を目指しています。
フリッカーヘルスマネージメントも国交省の補助対象。
しかし、こうしたツールを使っている運送会社は、まだ一握りだろうとのこと。

プロドライバーの危険運転をなくす手段として
より正しく心身の状態を判断できるツールがを
運輸業界各社が活用するようになることが待たれます。