第98回 ドアの開放時に起きる事故

2017/02/09

クルマのハンドルを握る方、
そして、免許を持たない人もクルマに同乗する機会はあると思いますが、
ドアを開ける時、どのくらい注意を払っていますか?
今週は「ドアの開放時に起きる事故」を追跡しました。

コメントは公益財団法人 交通事故総合分析センター 
研究部 主任研究員の高橋昭夫さんでした。

四輪車のドアを開ける時に起こる事故もまた「交通事故」。
平成26年には2,325件。
多い数ではありませんが、大きな事故にもなります。
平成27年には死亡事故もあったそう。

運転者、同乗者、クルマの近くを通る人、
それぞれの立場で気をつけたいところです。
2つの「ドア開放時に起きる事故」のケースを紹介しましょう。


1)乗用車が郵便局に行こうとして車を道路脇に停車。
  ドライバーが急いで降りようとしてドア開けた時、
  後ろから走ってきた原付バイクが開いたドアにぶつかり
  二輪運転者が対向車線に放り出され大怪我をした。



2)ドライバーがスーパーマーケットに買い物に来て駐車。
  止めた場所の右側は自転車とか保護者が歩ける通行帯があった。
  そこを自転車が通行してきた時に運転席のドア急に開けたため、
  自転車が空いたドアに当って、その勢いで右に倒されて軽傷を負った。



四輪車のドアを開ける時に起こる事故。
事故対象の7割が「自転車」で2割が「二輪車」。
多くはクルマの後方から近づいてきた時、
開いたドアにぶつかって事故になっています。

「自転車の事故の多さは中学生、高校生が通学で乗ることが考えられる」とのこと。
自転車通学をしている子どもがいる方は、ぜひとも注意喚起をしてください!

ところで、ドアを開けるのは運転者と同乗者の場合があり、ドアは右左にあります。    
データから、この事故の特徴を見てみると・・・


【右ドアでぶつかるケース】

荷物を配送している運転手が、
急に開けてしまったというパターンが非常に多いでそうです。
高橋さんによると、仕事なので非常に忙しく、
道路が長く駐車が出来ないような場所だと気が焦ってまう、
ついつい急にドアを開けてしまうということが考えらるということです。



【左ドアでぶつかるケース】

左側のドアに当る場合は同乗者が開けてぶつかるケースが多いそうです。
特に女性が運転していて人を送迎して降りる時、
同乗者が普通にドアを開けて衝突してしまうという可能性が高いということです。



実際、ドアを開けたクルマの運転目的の2トップは、
「業務」が54%、「訪問・送迎」が16%。
プロドライバーが運転する車だから安全というわけではありません。
乗客を乗せるために急ぐタクシーのドアにも気をつけましょう。
      
そして、同乗者が開けたドアも事故に繋がりますが、
実は運転者は、それについても責任を負っているのです。

道路交通法71条には「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない」とあり
「安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、
及びその車両等に乗車している他のものがこれらの行為により交通の危険を
生じさせないようにするため必要な措置を講じること」とあります。

【クルマの運転者】

⬛️ ドアを開ける前にルームミラー、サイドミラーを見る
⬛️ 振り向いて 自分の目でも確かめる
⬛️ ドアはいっぺんに開けず 少し開いてからゆっくりと
⬛️ 同乗者にも注意を促す


【自転車・二輪車の運転者】

⬛️ 渋滞中のすり抜けをできるだけ控える
⬛️ クルマの横を通るときはできるだけ間隔をあける
⬛️ 駐停車しているクルマの中の動きに注意する


それぞれの立場で気をつけて「ドア開放時の事故」をなくしましょう!