第122回 ゲリラ豪雨の備えと対策

2017/07/27

激しい雨が 狭い範囲で短時間に降る現象 いわゆる「ゲリラ豪雨」。
運転中に見舞われたら、充分な注意が必要です。
事前の備えもあったほうがいいでしょう。
今週は「ゲリラ豪雨の備えと対策」を追跡しました。  



実は「ゲリラ豪雨」という言葉は正式な気象用語ではありません。
気象庁は「集中豪雨」「局地的な大雨」といった表現をします。
しかし、1970年代からマスコミで使われはじめ、
2008年の「新語・流行語大賞」でトップ10入りしました。

正式な気象用語ではないので「ゲリラ豪雨」に明確な基準はありません。
ただ、過去を振り返ると1時間の降水量が50mm以上を記録した雨は

1976年 - 1986年 年平均160回
1987年 - 1997年 年平均177回
1998年 - 2008年 年平均239回

2009年の時点で10年前より35% 20年前より50%増えています。
ということは いわゆる「ゲリラ豪雨」も増えていると推測できます。
こうしたデータを見ると短時間の集中豪雨は増加していると言っていいでしょう。

独自の基準で「ゲリラ豪雨」の予測を発表しているウェザーニュースは
今年7月から9月の全国のゲリラ豪雨回数は
過去3年の平均と比べて3割増
7,043回発生するという予想を発表しています。

こうした雨の状況は車の走行にトラブルを起こします。
今月の北九州の豪雨に際してはJAFへの救援依頼が増えたといいます。
JAF東京支部 事業課交通環境係 金子力生さんによると
今年7月5日の0時から7月7日の15時45分までの統計は対昨年度比較1.5倍。
管水路を走行した事が原因と思われる事例とかもあったということで
やはり救援依頼の増加は雨の影響があることも推測されます。

金子さんが まず話していたのは
大雨や集中豪雨の時にはなるべく運転を控えること。 
視界が悪くて危険です。
川の氾濫や都市部は排水が降水量に追いつかずに
道路に水たまりができてクルマが水没したり、冠水する恐れがあります。

運転している途中にゲリラ豪雨が降ってた時は
水位が上がり身動きが取れなくなる可能性もあります。
安全を確保するために走行を続けたとしても
周囲より低いガード下やアンダーパスなど水が溜まりやすいところは避けましょう。
充分に速度を落として運転をするようにしてください。
また 冠水している道もなるべく避けましょう。

JAFは冠水した道路をクルマで走行した実験を行っています。

道 路 ▷ 長さ30m

水 深 ▷ 30cmと60cmと2通り

クルマ ▷ セダンタイプとSUVタイプの2種類

速 度 ▷ それぞれ時速10キロと時速30キロ


セダンタイプは水深30cmの場合は時速10キロ、時速30キロともに
何とか走り抜ける事は出来たそうです。
ただ 水深60cmになると かなり水に埋もれてしまう部分が多く
速度10キロでは走り切れずにエンジンが停止。
空気を吸う部分から水を吸ってしまいエンジン内に水が入った事が原因です。

SUVタイプは水深30cmの場合は時速10キロ、時速30キロともに走り抜ける事は出来ました。
しかし 水深60cmになると時速10キロでは何とか走り抜ける事は出来たのですが
時速30キロでは勢いがあって水しぶきがたくさん上がったため
水たまりに入ってすぐにエンジンが停止。
以上のテスト結果が出ています。

こうした冠水した道路を走る危険の1つが
水の影響でパワーウィンドウが作動しない ドアを開けられない、
最終的に車の中に閉じ込められてしまうこと。

そうした緊急事態のために
シートベルトカッターとガラスを割るハンマーが1つになったレスキュー道具を
車に備えておくことをおすすめします。