第125回 子供のための交通安全服

2017/09/07

高田賢三・コシノヒロコ、ジュンコ姉妹・山本耀司・・・
ファッション業界を牽引する人材をたくさん輩出してきた文化服装学院では
この春から1年生が交通安全を考えた子どもの洋服づくりをしています。
今回はその取り組みを追跡しました。





お話を伺ったのは2人の先生。
テキスタイル関連研究室 講師 吉村とも子さん。
ファッション工科 副グループ長 専任教授 早渕千加子さん。





きっかけは2年前の平成27年。
子ども服の安全規格がJISで制定されたこと。
背景には東京都が行ったアンケート調査がありました。

親に子どもの着ている服と安全について尋ねたところ
紐やフードや広がった裾などが原因でもう少しで事故に遭ったかもしれない
いわゆる「ヒヤリハット」の経験を答えた割合が7割もあったのです。

吉村さんは生徒に衣服の素材の品質について教える立場。
また小さな子どもがいる母親。
規格 JIS L 4129(よいふく) 制定を受けて
授業で生徒に子ども服の安全性の大切さを伝えました。

吉村さんは11月の文化祭で安全な子供服の展示も行ないました。
この時に協力してもらったのが一般財団法人 ニッセンケン品質評価センターです。
ニッセンケンは繊維製品の素材について安全性や機能性を評価する第三者機関。
JIS L 4129 に基づく良い服づくりをサポートしています。

この文化祭の段階で翌12月には日本交通安全教育普及協会が
車から子どもを認識しやすい「高視認性安全服」の規格を発表すると決まっていました。
そこで吉村さんは蛍光色と反射材のついた児童用安全ベストなどを借りて展示します。









吉村さんの文化祭での展示をきっかけに
交通安全を配慮した子ども服づくりを授業でやろうと考えたのが早渕さん。

ファッション工科 基礎科の授業では子ども服を作るという授業があり
子ども服といえば「可愛さ」がつくる・選ぶ基準になるもの。
でも 早渕さんはそういう一般的なものづくりに何か付加価値を添えた
学生たちの将来にプラスになるようなことはないか探していました。
そんな時に子どもの安全な服をテーマにした展示を目にして
取り入れることにしたのです。

早渕さんはニッセンケン品質評価センターとコラボレーション。
素材の提供を受けて授業で子どもの交通安全のための服づくりを始めました。
学生は5人ほどでグループをつくり制作に取り組んでいます。
市場調査をして プレゼンテーションをして デザインを決め 
サンプル縫製をして 今は実物の制作中。










早渕さんによると 
子どもの衣服の危険な部分を知った生徒たちは
どんな時間に どのくら起きているのか?
自分たちから率先して交通事故について調べました。
また 子どもの服への認識が高まって 
無意識で交通安全を守る衣服を作る意識が芽生えたといいます。

学生たちは将来 アパレル業界で商品を生み出していく存在。
こういう勉強をしたことを忘れずに
商品の企画に携わっていってほしいと早渕さんは言います。

生徒たちによる子どもの交通安全服は11月の文化祭で発表・展示されます。
来場者の投票などで優秀作品の表彰があるそうです。

衣食住の1つ「衣」。
身につけるものの安全性の意識は世界で高まっています。
将来のアパレス業界を担う人材が子ども服と安全性の相関関係を知る。
素晴らしい授業ですね。