第145回 腹話術で交通安全

2018/01/25

全国には無償で交通安全啓蒙活動をしている方たちが大勢います。
みなさん、地域の住民が交通事故に遭わないように、起こさないように、
祈るような気持ちで、活動を続けているのだと思います。

そんな1人、兵庫県の明石交通安全協会婦人部に所属し
25年にわたって腹話術で交通安全を呼びかけてきた女性が第一線を退きました。
今週’追跡’したのは、その山根和女さん。

山根さんは現在75歳。
子供が2人、警察官になったことをきっかけに、明石交通安全協会婦人部に入りました。
その後、役員に勧められて腹話術を習い、幼稚園や保育園等で交通安全腹話術をスタート。

腹話術を習いに行って2ヶ月後にいきなり本番。
お風呂でも、車でも、トイレでもセリフを一生懸命話したそうです。
それでも本番になると頭は真っ白。震えながら園児の前で話をしたとか。
最後まであまり慣れることはなかったということですが一生懸命やってきました。

幼稚園では春と秋に交通安全教室があります。
それぞれ20箇くらいで、25年間で1000回ほど!
本気で地域の安全を考えていないとできない回数です。
     
山根さんの相棒の人形は「交通安全協会」から抜粋した文字で「協ちゃん」。
ストーリーも山根さんがご自身でつくりました。

例えば「協ちゃん、信号って知ってる?」と聞くと
「知ってるよ!」「どんな色があった?」「えっとね、赤色、青色、黒色」
協ちゃんが間違えると、子供たちからは「違う、違う」と指摘する声。
自分たちから答えを教えてくれるそうです。
そこで「その色の意味知ってる?」と協ちゃんと一緒に話しかけていきます。

お巡りさんが話しするときは子供たちも緊張して聞くもの。
でも、協ちゃんが出ると顔はニコニコ。体を前に乗り出すようにして話を聞いてくれます。
「信号、赤で渡る?」と協ちゃんに言って、協ちゃんが「渡ります」っていうと
「渡ったらアカン、死んでしまうやんか!」と子供たちは口々に教えてくれるそうです。

楽しみながら交通安全の大切なことと接すれば、
自ずと頭にインプットされて「もしも」の時に出てくることでしょう。
そして、大人になってもそのことを覚えていて、
自分も子供を持ったあとで、同じように交通安全を伝えるかもしれませんね。

幼稚園や保育園に行った時には「お家に帰って、お父さん、お母さん、
お兄ちゃん、お姉ちゃんに、このことを話してあげてね」と伝えてきたという山根さん。
それは、覚えたことを家に帰って話すことで、交通安全への理解をより深めるようにです。

山根さんは75歳になり健康面のことを考慮して
また、幼稚園や保育園をまわっていた時に車を乗っていましたが、
そろそろ免許証を返納したいということもあって
これまでのような頻度で交通安全腹話術をやることはやめました。
免許証も返納したそうです。

ただ、これからも時々は、協ちゃんと一緒に、
子供たちや高齢者に交通安全を話す機会もあるとのこと。
地域のために、無理をせず頑張っていただきたいものです。
山根さんのような方がいることで地域の交通安全意識は格段と高まるのだと思います。