第186回 衝突被害軽減ブレーキ

2018/10/18

日々、進歩しているクルマの安全性能。
その1つが「衝突被害軽減ブレーキ」です。
今回は交通コメンテーター 西村直人さんにお話を伺いました。

車には周囲の状況を見るセンサーがついています。
そのセンサーが衝突の危険を感知すると警報ブザーやディスプレイ表示で
まずドライバーに対してブレーキを踏んで下さいというメッセージを伝えます。





しかし、何らかの理由でドライバーが反応できない場合、
いよいよ衝突が避けられない瞬間になると自動的にブレーキがかかります。
これが大きく言って「衝突被害軽減ブレーキ」です。

「衝突被害軽減ブレーキ」が市販車に初めて搭載されたのは15年前
今では世界の自動車メーカーが搭載する流れになっています。    
ただ、『メーカー』や『車種』によって危険を検知する「対象」や「性能」が異なる。
それがわかりにくいところ。

まずは危険を検知するセンサーの違い。
西村さんによると、初期の衝突被害軽減ブレーキは、
わりとと低価格帯の赤外線レーザーを使っていました。
今では赤外線レーザーとカメラセンサーを組み合わせることで
精度の高い性能を持つ車も出てきています。





現在、衝突被害軽減ブレーキのセンサーは大きく3種類あります。


<赤外線レーザー方式
> 
コメントにあった低コストで広く普及したもの。
探知距離は数メートルから数十メートル程度。
ただ、太陽の直射光線に影響される可能性があります。     
  
  
<カメラ方式>
 
これもコメントにありました。
歩行者や車線、道路標識までも識別できます。
ただ、逆光や悪天候になる場合、
性能を十分に発揮できない可能性があります。


<ミリ波レーダー方式
>
ミリ波帯の電波を用いるシステム。
探知距離が長く、天候の影響をあまり受けません。
ただ、歩行者や自転車の検知には不向きです。


それぞれ一長一短あって、
これらの組み合わせで特徴を生みだしているのです。
そして、国内メーカーのクルマに搭載される「衝突被害軽減ブレーキ」は、
このところ新しい流れが生まれているようです。





西村さんによると、以前は車両価格が高いほど
センサーの数が多く、精度も高いものでした。
それが、今ではそうとも言えなくなってきているといいます。
日本では乗用車に衝突被害軽減ブレーキが導入されている率は新車だと47%ほど。

普及の拡大によって、低価格化されてきて。
これまで高い車にしか付いていなかったセンサーのいくつかが、
中級価格帯、低価格帯の車にまで採用が及んでいます。
下から上のクラスまで安定した衝突被害軽減ブレーキの性能が、
ここ数年は見込めるのだそうです。

どんな車にどんなセンサーがついているのかを知るには
車種カタログにセンサーの種類と対応できる
自動ブレーキのシステム内容が書いてあります。
まずは、それを参考、判断材料としてください。





「衝突被害軽減ブレーキ」の評価ポイントは

【作動対象】→ 最初は車だけ 最近は人や自転車も対象になっています
  
【作動速度】→ 自分の車がどのくらいの時速で作動するか?
 
【夜間対応】→ 夜にも作動するか?


「衝突被害軽減ブレーキ」を考える時は、クルマの利用の仕方と、
こうした情報を擦り合わせて選択を考えるといいでしょう。

ただし、この機能は安全を100%担保してくれるわけではありません。
安全を『アシスト』してくれるためのものです。
運転するのはあくまで人間。
その点、認識を間違えないようにしましょう。