第245回 改正道路交通法施行

2019/12/06

12月1日から改正道路交通法が施行されました。
大きなポイントは「ながら運転」に対する罰則の強化。
交通関係に詳しい、東京 麹町 みらい総合法律事務所の
吉田太郎弁護士にわかりやすく解説していただきました。





今回の改正理由は増えている
スマートフォンの使用に絡んだ事故をなくすこと。

警察庁の発表によると、スマホ・携帯の画面を注視したり
通話で用いたりしてる事故は平成30年の1年間で2790件。
5年前の平成25年は2038件だったので5年でおよそ1.4倍になっています。

また、死亡事故の割合が携帯やスマホを使っている場合、
使っていない場合の2.1倍に上ることも発表されています。





今回の法改正による罰則強化は2つのケースに分けられます。
1つは事故に至っていない「携帯電話の使用等 保持」についての違反行為。

吉田弁護士によると、保持とは携帯電話を持って通話したり、
携帯電話スマートフォンの画面を注視すること。
今までの刑罰というのが「5万以下の罰金」だったものが、
改正後は「6ヶ月以下の懲役」か「10万円以下の罰金」になりました。

1番大きい点は、今までは罰金で済んだかもしれないものが、
「6ヶ月以下の懲役」もありうるということになったところ。
同じような違反行為を繰り返す。長時間スマホを使っていた。
悪質とされた場合は交通刑務所に入る可能性もあります。





そして、ドライバーのもう1つの状況は、
「携帯電話の使用等によって交通の危険を生じさせた場合」。

”交通の危険を生じさせた”というのは平たく言うと事故のこと。
携帯電話を持って通話したり、画像を注視したり、
あるいは持たなくてもカーナビなどをずっと見る、
そういったことで交通事故を起こした場合、
今までは「3ヶ月以下の懲役」か「5万円以下の罰金」だったのが、
「1年以下の懲役」か「30万円以下の罰金」という罰則になりました。
「懲役最大3ヶ月が1年になるというのは大きな変化です」と吉田弁護士。

さらに減点されるポイント数も、それぞれ多くなります。
保持の場合、今までの減点1が減点3点に。
交通の危険を生じさせた場合は、今までの減点2が減点6に。
減点6とは、すなわち1回で免停。

罰則強化が抑止力となって『ながら運転』が減るといいとは思います。
ただ、こうした強制的な“力”によって『ながら運転』が減るのではなく、
ドライバー自身の意識が向上によって、
自ずと『ながら運転』ドライバーが絶滅することを目指したいものです。