第302回 自動運転システムの安全性

2021/01/08

自動運転技術の実用化が進む自動車。
その周知を図るCMもよく見るようになりました。
自動運転は今、どんな段階にきているのか? 安全性はどうなのか? 
今週はモータージャーナリスト 菰田潔さんにお話を聞きました。






自動運転のレベルは6段階が定義されています。


<レベル0> 運転自動化なし


<レベル1> 運転支援

前後・左右、いずれかのクルマの制御に係る運転操作をシステムが行うもの。
自動ブレーキと呼ばれている衝突被害軽減ブレーキや
前の車との車間距離を取って走るアダプティブ・クルーズ・コントロール
レーンをはみ出さないように走るレーン・キープ・アシストなど。


<レベル2> 部分運転自動化

前後・左右、両方のクルマの制御に係る運転操作をシステムが行うもの。
基本的に高速道路で60キロ以上の時にできる部分的な自動運転です。

ドライバーが監視をしている必要がありますが、
停止シーンではアクセル、ブレーキを車がやってくれます。
さらにレーン・キープ・アシストでレーンからはみ出さずハンズオフで走れます。
ただ、何かあった時はすぐにドライバーが操作しなければいけません。
ドライバーが脇見をしていると注意してくださいと車から怒られる。

反対にBMW製品の場合は渋滞の時に運転操作を担ってくれます。
高速道路、60キロ以下、前に車がいる、という3つの条件が揃うと
渋滞モードで走ることができると車側から教えてくれて
ボタンを押すと手足フリーで走ることができます。


<レベル3> 条件付運転自動化 

システムが全ての運転タスクを行いますが
システムの要請でドライバーの対応が必要です。







<レベル4> 特定条件下、基本的には高速道路での完全自動運転 


<レベル5> 完全自動運転

       
レベル4とレベル5ではシステムが安全の監視・対応を行います。
人間は関与しません。難しいのがレベル3。

まだ、レベル3のクルマは世界に走っていませんが、
今年、日本で実用化される予定です。それがHondaのレジェンド。
これはハンズオフどころかアイズオフが許されます。

ところが、車から運転操作を依頼された場合はドライバーが操作します。
なので、景色を眺めたりというところまではできますが、
運転席から離れることはできず、寝ることもできません。

レベル3より上になると人間が一時的に介入せず車が勝手に走るモード。
実は自動車メーカーごとに見解がわかれているようです。
例えばボルボなどレベル4になるまで出さないところもあります。

レベル3ではドライバーが本当に寝てしまった場合、
気がついた時にすぐ運転に戻れるかという曖昧な部分があるためです。

自動車の完全自動化はまだかなり先のこと。
一方で自動化は段階的に進んでいくでしょう。
その過程にあるこれから、人間の運転と自動運転が混在した状況には、
注意が必要だと菰田さんは指摘します。





菰田さんはスカイラインのプロパイロットで試験走行した時のこと。
ランプ・ウェイに出てインターチェンジに出るところ、
減速区間が終わってカーブが始まりました。
自動運転の車は標識を読んで60キロ、40キロと
標識通りにスピードを落としていきます。

ところが一般の車は100km/hで走っていて
ランプ・ウェイに入っていく時に80キロくらい出ています。
そこで後ろから車が迫ってきたので思わずアクセルを踏んで逃げたそうです。
自動運転と普通の車が一緒に走ることの危険性を指摘します。

自動化が進んでいく中にあっては、
自分のクルマの走行に、他のクルマとのコミュニケーションに、 
充分気をつけて走行することが必要になります。