第303回 2020年交通事故死者数

2021/01/15

年が明けて、警視庁が2020年の交通事故死者数を発表しました。
今週はその結果についてお伝えしました。





警察庁による交通事故死亡者の統計がスタートしたのは終戦から3年後の1948年。
初めての年は3,848人でした。

その後、日本は高度経済成長期に突入して、
1959年には1万人を突破。翌年には1万2,000人を突破。
この2年で日清戦争2年間での日本の戦死者数を超えたことから
「交通戦争」という言葉が生まれました。
そして、1970年、現在までの最多となる1万6,765人を記録しています。





一方で、交通事故を減らすために社会インフラの整備が進み、
1971年からは交通事故死者数は減少に転じます。
1979年にはピーク時の半分ほどの8,466人になりました。

ところが1980年から交通事故死者数は再び増加へと反転。
1988年には1万人を突破し、この「第二次交通戦争」のピークは、
1992年の1万1,452人でした。

背景には運転免許保有者数や自動車の増加や
運転技能が十分ではない若い運転者の増加があったとされています。

第二次交通戦争の中、行われた法律やさらなる道路環境の整備、
交通安全啓蒙活動の効果が表れたのが1993年。
自動車技術の進歩もあり、交通事故死者数の減少が加速しています。
2016年には3,904人となり、統計2年目の1949年以来の4千人以下に。
そして、2019年は3,215人まで減りました。





これまでの流れを振り返ったところで、     
最新2020年の交通事故死者数は

2,839人 (前年比 ー376人) 
    

4年連続で「統計開始以来最少」を更新し、初めて3千人を下回りました
一方で、世代別では65歳以上の高齢者が56%で統計開始以来最多。

都道府県別では、53年ぶりにワーストになったのは東京都。
去年より22人増えて155人。

2位と3位は去年と同じで愛知県と北海道。
愛知県は2人減って154人、北海道は8人減って144人。

4位は8人増えた神奈川県で140人。
5位は去年のワーストだった千葉県、44人減って128人でした。

ただ、これは絶対数での順位。
人口に対する割合では結果が変わるので認識には注意が必要です。





最少人数記録の更新は喜ばしいですが、
それでも2,839人が亡くなったことを忘れてはいけません。

始まったばかりの2021年。
さらに劇的に交通事故被害者を減らしたいものです。