第305回 自転車の交通ルールと安全利用 前編

2021/01/29
かねてからの人気。電動アシスト商品の普及。
コロナ禍で、通勤時の“密”を避けるため、運動不足のため、
宅配サービスの頻度が高まったため、
街に自転車と危険が増えたという声が聞かれます。

今週と来週は2週にわたって
「自転車の交通ルールと安全利用」をお伝えします。
コメントは自転車ジャーナリストで
「自転車の安全利用促進委員会」メンバー 遠藤まさ子さんです。







交通事故全体はかなりの減少傾向。
その中にあって自転車事故には減少率が少ないケースがあります。

平成21年の自転車が絡む事故15万6488件は
平成31年に8万473件となり、半数近くに減っています。
ただ、自転車対歩行者の事故は平成21年の2946件が平成31年は2692件。
1割しか減っていません。
交通事故に占める割合としては自転車と人、
自転車単独の事故が割合として増えている傾向にはあるのです。

「自転車」と「人」は自転車側が加害者となる事故。
自転車に乗る人は気を引き締めましょう。







コロナ禍でデリバリー利用が増えました。
路面店の前にたくさんのフードピックアップの自転車が並んでいたり
配達先の家を探すのに必死で道路を逆走していたり、歩道でうろうろしていたり、
そんな光景を目にするので、マナーの悪い自転車が増えているという
印象を持つ人も多いのではないかと遠藤さんは言います。

もう1つは育児用品としての電動アシスト自転車の定着。
お母さん、お父さんが子どもを乗せ、急いでいる特に荒い運転になったり
自転車は車道を走らなくてはいけないのに
子どもを乗せて車道を走れない…と歩道を走る、
しかも、スピードを落とさずに爆走する。

そういう人がいればもちろん目につくので
自転車に悪い印象を持つようになっている人も多いのではないか。
遠藤さんは、そう指摘します。





あらためて自転車の交通ルールをお伝えしておくと
自転車が歩道を走行する条件は・・・

◎ 「歩道通行可」の標識がある

◎ 13歳未満、もしくは70歳以上の運転者

◎ 運転者が安全に車道を通行できない身体の障害を有する

◎ 安全のためにやむを得ない


また、実際に走行する際には・・・

● 車道寄りを、いつでも止まれる速度で徐行

● 歩行者の妨害になる時は一時停止するか
自転車を降り、自転車を押して通行する





自転車は原則、車道の左側を走行。
車道に色塗りされている自転車専用レーンがあれば、そこを走りますが、
気をつけてほしいのが、自転車のマークと矢羽型のマークがあって色塗りのないゾーン。
それは“自転車専用”ではありません。
クルマが走っても違反ではないのです。
自転車利用者がクルマのドライバーに怒ることがあるそうですが、
それは間違った認識です。

そして、自転車のマークがあり、自転車が走行できる歩道も増えています。
これも歩行者はここを避けて通る努力義務がありますが、通行を禁じられてはいません。
自転車は、通行する、通行しようとする歩行者がいない時に
「安全な速度と方法で」走行できるというのがルール。
歩行者がいれば徐行・一時停止の義務があります。
こちらも間違った認識を持たないようにして下さい。