第306回 自転車の交通ルールと安全利用 後編

2021/02/05

減少率が低い自転車乗車中の事故。
コロナ禍に危険運転が目立つこともあり、
今週は先週に続き「自転車の交通ルールと安全利用」をお届けしました。
お話を伺ったのは自転車ジャーナリストで、
自転車の安全利用促進委員会メンバーの 遠藤まさ子 さん。





昨今、自転車の利用は規則が厳しくなっています。
スマホを見ながら操作しながらという運転はもちろんダメ。
イヤホンの使用も自治体によりますが概ね禁止されています。
片耳ならいいと考えられる方も多いのですが
片耳でも取り締まられている自治体もあります。

道路交通法はしばしば改正されます。
去年の改正では自転車の”あおり運転”に罰則が設けられました。
自転車を車のドライバーと同様に交通ルールを知っていて
きちんとマナーを守って運転する立場とみなすようになってきています。
自転車を運転するのは生活手段というよりは
車と同じ乗り物を運転している気持ちが年々求められていると思う。
遠藤さんは、そう話します。





自転車に乗っていて、歩行者に怪我を負わせたり、
死亡に至らせてしまった場合は、刑罰が課せられます。
例えば2017年、スマートフォンと飲み物を持ちながら電動アシスト自転車に乗り
歩行者を死亡させたケースでは地裁で禁固2年、執行猶予4年の判決が下されました。

その刑事罰とは別に発生するのが損害賠償金。
安全な自転車利用を心がけていても
事故当事者になってしまうことがあります。
保険には必ず入りましょう。





自転車保険は多くの自治体で義務化の動きが進んでいます。
しかし、基本的に罰則が設けられてはいません。
したがって義務化されている自治体でも加入率は6割ほど。

自分が怪我をした時だけではなく相手に怪我をさせてしまうケース、
あるいは負傷者や死亡者が出なくても
例えば車を傷つけてしまったような時には損害賠償は発生します。
備えとして保険に入っておくことは大切です。





そして、自転車の事故を避けるためには自転車の選び方も重要です。
見た目が同じであっても1つ1つの機能がきちんと安全なものを選びましょう。
外面上は整っていてもブレーキが効かなかい、
タイヤが薄くて滑りやすいという製品にもあるので気をつけましょう。

可能であれば乗ってみる。
自転車店が近所になくて離れた大型店まで予約をして引き取りに行く、
半ネット販売のような場合にはBAAマークがある自転車を選ぶといいでしょう。
それが遠藤さんのアドバイス。





BAAマークは自転車のサドルの下、
縦パイプに貼られている緑のベースに白地のマーク。
一般社団法人自転車協会が定める、
フレーム強度、ブレーキの制動性能など、
およそ90の検査項目をクリアした自転車に貼られるもの。
製品由来の事故が起こった時は保障も受けられます。





そして、日々のメンテナンスも大切。
不具合を自分自身では感じてなくても
専門家が見るとあることが往々にしてあります。
1年に1回は定期メンテナンスをしてください。

自分で出来るメンテナンスはタイヤの空気を入れること。
遠藤さんによると女性は空気圧が低いまま乗っている方が多いそうです。

一般の自転車は空気が抜けるとペダルが重くなります。
でも、最近お母さんの立場にある人の利用頻度が高まっている
アシスト自転車はペダルがあまり重くならないので気づかない人が多いとか。

空気入れが家にないという方もいるでしょう。
店頭に自動空気入れの設置する自転車店も増えていますので
そういったものを活用しつつ、ついでに気になるところがある時はみてもらう、
そうすると自分では気づかない不具合も見つかるので一石二鳥です。