第312回 絵本『しんごうきの名前はぼんちゃん』

2021/03/19

去年4月、文芸社から『しんごうきの名前はぼんちゃん』という絵本が刊行されました。
文章を書いたのは、大阪府警察に勤めていた西浦美恵子さん。
今週は、この絵本を、ご紹介しました。





ぼくの名前は、「ぼんちゃん」
学校の近くにある、しんごうきなんだよ。
あれれ?? かわいい声が、聞こえてきたよ。

「おはよう」
「おはよう」
「きのうの 、ボール遊びは、楽しかったね」

ぼくは、学校に行く時の、みんなの、わらい声が大すきなんだ。
ぼくはねぇ、大きなひかるお目めが、三つ(みっつ)も、あるんだよ。
みんな、見たことが、あるかな?
右から、「赤色」、「黄色」、「青色」の、三つだよ。
三つの色のいみって、知ってるかなぁ?

「赤色」は、とまれだよ。
「黄色」も、とまれだよ。
「青色」は、すすんでもいいよ。



信号機「ぼんちゃん」は子どもが大好き。
いつもドキドキ、ハラハラしながら見守っています。
そして、事故に遭わないよう、メッセージを送っています。

西浦美恵子さんは、子どもたちが交通ルールと交通について
優しく学ぶことができるよう、この物語を考えました。
例えば信号の見方。横断歩道の渡り方。
遊んでいる時にボールを追いかけても、飛び出したらダメ。
駐車場の後ろでかくれんぼをしてたら車が急に動いて事故になる、とか。
ぼんちゃんが子どもたちに語りかけるのです。

イラストレーター 陣条和榮さんが描いた絵は、
「ぼんちゃん」や子どもたちが生き生きと描かれていて
絵本を読む子どもにメッセージがよく伝わると思います。

40年の警察勤務を終えるにあたり、
西浦さんの心に、いちばん残ったのが“交通”についてだったそうです。
交通事故防止のために頑張る同僚・先輩の姿に感銘を受けたこと。
子どもが交通事故に遭ってしまった家族の悲しさ。
自分が何かできないかと思い物語を創作。
出版社に送ったことが、この絵本の刊行に繋がりました。

こうした絵本を親子で一緒に読んだ上で、
外出した時に、実際の信号機を見せて、
「黄色や赤はいけないよ」と伝えると、
より子どもの心に残ることでしょう。

「1番の指導者はお父さんお母さん。
日頃から繰り返し交通安全について教えることで子どもの命が守れるんじゃないかと」。

そして、絵本の中には今ではあまり見られなくなった「指切りげんまん」が出てきます。
お母さんとの約束事って大事。約束したことは守ろう。
そういうことも大事かなと思い、西浦さんは盛り込んだそうです。

『しんごうきの名前はぼんちゃん』は文芸社から
本体価格1,000円で発売されています。