第378回 真夏の車内は危険

2022/07/01
今年はすでに東北以外の地方は梅雨が明け、
猛暑が日本列島を襲っています。

クルマの乗車についても注意すべき時期。
真夏の車内は危険です。





JAF 東京支部 事業課 交通環境係 杉本 実さんによると
JAFのテスト結果では気温 35 度の炎天下にある窓を締め切った車は、
エンジンを停止させてからわず30 分後に車内温度が約 45 度。
その後も上昇を続けて、3 時間後には 55 度を超えたそうです。

車内の熱中症指数としては5 分を過ぎると「警戒」域に入り
10 分で「厳重警戒」、わずか 15 分で「危険」域になります。
そんな環境なので気をつけないわけにはいきません。





まず気をつけなければいけないのは、
夏になると毎年報道される子どもやペットが車内に残される事故。

これには意図して車内に残して行くケースと
車内にキーを残したまま外に出て、思いがけずドアがロックされてしまう、
「キー閉じ込み」のケースがあります。

去年8月の1ヶ月間、JAF が出動したキー閉じこみの救援のうち
子供やペットが車内に取り残されていたのは全国で 98 件、
子供が 75 件、 ペットは 23 件あったそうです。
このうち緊急性が高いと判断してドアのガラスを割って救出した ケースは 2 件。

原因には子供に鍵を持たせていたらロックボタンを 押してしまった、
犬が誤って運転席のドアロックボタンを押したというものがありました。
乳幼児は体温調節機能が未発達。少しの時間だから寝ているからなどの理由で
車内に子供を残したまま車を離れることは危険です。
キー閉じ込みのトラブルにならなくても熱中症を引き起こす事故になりかねません。
また、高齢の方は体温の調整機能が落ちて暑さを自覚しにくいと言われています。
大人だから暑ければ自分で外に出るだろうと車内に残して離れないようにしましょう。





次に気をつけなければいけないのは熱中症。
JAFが以前、オンライン調査『あなたの熱中症を教えて』を展開したあところ
3571 あった回答のうち 431 件が「車内で熱中症になった」、
もしくは「なりかけた」という内容だったそうです。
中には家族を迎えに行っている運転中、
エアコンを切っていたら熱中症になりかけたという人もいました。

車内で熱中症というとペットや子どもの事故に接することが多いですが、
ふつうの大人も侮ってはいけません。やはり水分補給が大切。
汗をかくと体内のミネラルや塩分が放出されてしまうので
経口補水液やスポーツドリンクをこまめに飲みましょう。

また、体温上昇に注意が必要です。日に当たらないように工夫しましょう。
運転席助手席は 車に常備されているサンバイザーを使って日差しを防ぐ。
また、常備されたサンシ ェードや市販のサンシェードなどで日差しを防ぐ。
特に小さな子どもや高齢者を乗せる時には要注意。
後部座席に日差しを遮る色がついたドアガラスを使っている車もあるので
そうした車の場合は後部座席に乗ってもらうようにしましょう。





JAFではかつて対策別に車内室温の変化を確認する実験を行ないました。
「車体に水をかける」「冷却スプレーをシートにかける」「ドアを開閉する」など
インターネット上では車内温度を下げる様々な方法が挙げられていますが、
JAFのテストでは、いずれも車内温度を大きく下げる効果は期待できないという結果でした。





上の図をご覧ください。
唯一、大きな効果が証明されたのがエアコン+走行。
まずは窓を全開、エアコンを外気導入にして走り出し、
車内の熱気を出したら窓を閉め、内規循環にして、室内温度を下げる最も効果的な方法。
その後、室温が下がって安定したら、外気導入に切り替えましょう。
疲労感増加や注意力の低下、眠気や頭痛の原因となる CO2 濃度を増加させないためです。

しばらく続く暑い夏。
車内の環境にも充分に注意してカーライフを送って下さい。