第412回 2022年の死亡事故ゼロへ。山口県での取り組み例

2023/02/24
去年、山口県警察 岩国署管内の岩国市と和木町で
交通死亡事故がゼロとなりました。

交通事故死亡者なしというのは、和木町では2002年から続いていますが、
岩国市は統計が残る1960年以降で初めて。

全国を見れば、他にも去年、死亡事故ゼロだった市町村はありますが、
1つの例として1件でも死亡事故を無くしていくため
どんな取り組みをしてきたのか、しているのか? 岩国署に聞きました。





岩国市の人口は2月現在で128,404人で山口県内で5番目の多さ。
和木町は1月25日現在で5,796人。

和木町は人口が6千人に満たないとはいえ2002年から交通事故死亡者ゼロ。
これは凄いことだと思いますが、石油化学コンビナートの街として
瀬戸内工業地域の一角を占めている地域。

岩国警察署の交通官、田畑哲哉さんによると
岩国市と広島県大竹市を結ぶ国道2号が通っていて
特に朝夕の通勤帰宅ラッシュ時にはかなりの交通量があります。

過去には交通量が多いのに歩道がないなどの苦情があったそうですが
この20年間に道路環境の整備が進み
町のコミュニティバスで公共交通が確保されたこと
婦人会の活動が非常に熱心で高齢者宅へ訪問をして交通安全指導をするなど
地道なボランティア活動が実を結んだのではないかとのことでした。





一方の岩国市は過去に合併があったので、現在の岩国市の範囲で見ると
昭和44年には50人近くの方が交通事故によって命を落としました。
その後、平成に入っても2桁前後の死者数が続いていましたが
平成29年の10人を最後に1桁に推移しているそうです。

岩国市で現在のところ最後の交通死亡事故は令和3年9月21日。
実は1年を優に超えて1年5ヶ月ゼロが続いています





岩国警察署では交通事故対策のため
これまで様々な交通安全のキャンペーンや学校での交通教室、
高齢者や企業対象の交通安全講話に従来から力を入れてきたそうです。

そうした中、去年7月から山口県警は横断歩道の歩行者優先を徹底させるため
「横断歩道ハンドサイン運動」という運動をスタート。
これは「歩行者は渡ります、ドライバーはお先にどうぞ」と言った合図を明確にして
お高いの意思疎通を図るというもので、これをやってきたことで
横断歩道の歩行者優先という意識はかなり徹底されてきていると
田畑さんはおっしゃっていました。

また、岩国警察署は高齢者の運転免許の返納者数が増加傾向にあり
岩国市が行ってきたた年間最大2万4000円分のタクシー利用券を交付する
タクシー料金の助成制度が実を結んだのではないかと田畑さん。

こうした制度と他の乗り合いバスなどを組み合わせることで
高齢者は山間部に暮らす方たちの利便性も大きく向上し
運転免許を返納しやすいか環境が構築されていると思うと田畑さん。
また、管内では交通安全ボランティアの活動が非常に活発で
交通安全を意識してもらうということに繋がっていると思うと
田畑さんはおっしゃっていました。





交通戦争と言われた時代から、日本では国を挙(あ)げて、
交通安全の啓蒙活動や施策が行われてきました。
岩国警察署管内でも交通安全に長年取り組んできて、
ここへきて実を結んだということでしょう。

年が明けて1月23日には交通死亡事故ゼロの記念式典が行われ
関係者の方たちは多いに盛り上がったそうです。

田畑さんは交通事故はいつ、どこで起こるかわからない身近な危険。
クルマを運転する時、道路を歩く時、
そのことを頭の片隅において行動して下さいとおっしゃっていました。
この言葉を覚えておいて下さい。