第439回 大地震が起こったら

2023/09/01
今年の9月1日、つまり今日は関東大震災が起こってから100年。
当時と違い自動車が交通手段として普及した現代、
大地震発生時にハンドルを握っていることも考えられます。

避難にあたって「クルマで!」と考える場合もあるでしょう。
今回のテーマは「大地震が起こったら」でした。
お話を伺ったのはモータリングライター  藤田竜太さんです。





まずはクルマを運転中に大きな地震が起こった、
または緊急地震速報を受信した時にはどうするべきか?
大切なのは慌てずに道路の左側に車を停止させること。
特に大きな揺れを感じた場合はハンドルをしっかり握って
ハザードランプを点滅させながら急ハンドル、急ブレーキを避けて
道路の左側に停止させてください。

その上で揺れが収まるまで車内で待機しましょう。
車を停止させたらスマホやラジオで情報収集。
慌てて社会に出ると他の車にはねられたり
落下物などの被害に遭うこともあるので
落ち着いてから行動することが肝心です。





停車後、情報収集した結果、クルマを置いて避難しようと判断した時は
できるだけ駐車場や空き地など、道路以外の場所に移動しておくことが基本。
ただし、地震直後は信号機の作動停止、道路の損壊、
落下物の飛散などが考えられるので注意が必要です。

やむを得ず道路上に置いて避難する際は、道路の左側に寄せて駐車し、窓を閉め、
サイドブレーキをかけ、エンジンを止めます。
そしてエンジンキーはつけたままにするか、運転席など車内のわかりやすい場所に置き、
ドアはロックしないでください。
パトカー、救急車、消防車などの緊急車両や、
避難する人の通行を妨げない場所を選んで止めることが非常に重要です。
余裕があれば車内には連絡先のメモを残し、車検証は持ち出しておくと安心です。





以前は「大地震が起こった時は、避難時にはクルマを使わない」
というのがセオリーとして啓蒙されていました。
しかし、2011年の東日本大震災の時に
自動車で逃げた人の多くがが津波で命を落とすことになります。
あの経験から自動車での避難について注釈的な変更が加えられました。

共同通信の調べによると津波被害が想定されている
国が防災対策の特別強化地域に指定した7道県の108市町村のうち
少なくとも60市町村が「自動車での避難を認める」と地域防災計画などに明記。
警察庁も「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のときは車を使用しないこと」
「津波から避難するため、やむを得ず車を使用するときは、道路の損壊、信号機の作動停止、
道路上の障害物などに十分注意しながら運転すること」と呼びかけています。

この「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと」
という1文は、実は東日本大震災の1年後に改正されたルールで、多くが原則徒歩などの条件をつけ、
車は「足が不自由な人の避難などやむを得ない場合に限っている」となっていますが
まだまだ課題は多いようです。





クルマでの避難は道路の損傷や落下物に気が付かず、
乗り上げてスリップしてしまう、交差点に突っ込んで交通事故を起こす
といった二次被害が発生しかねません。

また、大地震が起こった後には交通規制が引かれ、
信号機の故障もあるかもしれず、
地方でも、かなり高い割合で渋滞が発生します。
基本的には、クルマは置いて、避難しましょう。

「やむを得ない場合」として想定されているのは、
高齢者やケガや障害で歩けない人が逃げる時や、
小さな子どもを連れている場合などです。





日頃からの大地震に向けての備蓄品についてはスマホとスマホの充電器、
防寒用のブランケットと雨具、携帯トイレなども複数用意しておくといいでしょう。
新聞紙やタオル、ウエス(汚れを拭う布切れや古布)なども重宝します。
ロープやスコップ、軍手、助けを呼ぶ為のホイッスルなども常備したいグッズ。
あとは非常用の飲料水や非常食、これらは賞味期限の管理が重要です。
小さな子供や高齢者がいる家庭は、紙オムツなども必要かもしれません。

大地震のあとは車中泊避難となることもあるかもしれません。
その際の注意点としては

❤️ エコノミー症候群にならないよう適度に体を動かす!

❤️ 夏は熱中症にならないよう水分と塩分を摂る!

❤️ 冬は低体温症と排ガスによる一酸化炭素中毒に注意!


関東大震災から100年目の「防災の日」。
クルマを運転している時に大地震が起こった時のことを
シミュレーションしてみましょう。