第547回 夕暮れ時の自動車対歩行者事故に注意

2025/10/03
秋の交通安全運動期間中の放送だった
先々週と先週の放送でも伝えましたが、
夕暮れ時は交通事故が最も多く発生する時間帯。

そして、日没時間が早まる10月から12月は、特に交通事故が多い時期。
今回はモータリングライター 藤田 竜太 さんにお話を伺い
ドライバーと歩行者、それぞれの立場から事故を起こさない、
事故に巻き込まれないポイントを考えました。





警察庁によると時間帯別に死亡事故の発生件数を見ると
日の入り時刻と重なる17時から19時台に多く発生しています。
令和元年から令和5年の薄暮時間での月別死亡事故件数は、
最も少ない6月の77件に対して10月 197件、11月 220件、216件。
これからの薄暮時間に気をつけなければいけないことがわかります。

10月から12月の薄暮時間に事故が多くなる理由の1つが帰宅ラッシュ時間と重なること。
ドライバーの視認性が悪くなるタイミングに家路を急ぐ人たちが増えて
事故が起こりやすくなる状況になってしまうと考えられています。

ドライバーの目は日暮れ時の暗さに目がなかなか慣れません。
人間の目は明るさの変化に順応するのに意外に時間がかかります。
そのことが自覚できないまま周囲の歩行者などの発見が遅れることも原因とされています。





薄暮時間に多いのが自動車と歩行者の事故で死亡事故の半数は、このタイプ。
日中の3.3倍に上ります。大人は早く家に帰って家族に会いたい、一息つきたい。
子どもはお腹減った、夜ごはんが待ってる・・・と、考えてみれば夕方は誰もが急ぎがち。
そこを「急ぎすぎると危ない」と自制しないといけません。

事故を呼び込まないための対策。
ドライバーはヘッドライトの早めの点灯が第一です。
日没の1時間前にはヘッドライトを点灯して被視認性を高めましょう。

2000年以降の新車に義務付けられたオートライトは、
100ルクス未満になるとヘッドライトが自動的に点灯しますが、
基準となる100ルクスの明るさは日没の1時間前の太陽光と言われています。

また、薄暗くなると距離感や速度を正確につかむのが難しくなるので、
全般的に昼間より速度を落として走行するようにしましょう。

そして、薄暮時間帯の自動車対歩行者の事故の86%は歩行者の横断中、
そのうち76%が横断歩道以外の場所での横断となっています。
信号機や横断歩道のない交差点や細い道は速度を落として慎重に走ることが肝心。
対向車や前走車がいないときは、積極的にハイビームに切り替えて
遠くの歩行者や自転車を早めに認識できるようにすると安全度が増します。





次に歩行者の注意点。
前述のように、薄暮時間帯に歩行者が横断中に発生した死亡事故の76%が横断歩道以外。
そして、その7割に法令違反があったことがわかっているので、まずは交通ルールを守ること。

そして、ドライバーから見えやすい明るい色の服を着るのが理想的です。
反射材やLEDのランプなどを利用しましょう。

もう1点、右から来た車が停まってくれた時に、すぐさま道路を横断し始めると、
左から来た車に衝突してしまうケースも少なくありません。
ドライバーから見ると道路右側は視界が悪く、歩行者の発見が遅れがち。
歩行者は横断時によく確認してから横断することが重要です。

しかし、まずは信号機のある場所、横断歩道のある場所、
道路照明のあるできるだけ明るい場所を選んで道路を横断しましょう。





これからの薄暮時間は急がない! 早めのライト点灯!
歩行者は反射材を活用して、交通ルールを守り、
安全なところで道路を横断する。
お子さんや、身近のご高齢の方にも注意を促し、
1つでも悲しい事故が減ることを目指しましょう。