第552回 片側3車線以上の高速道路

2025/11/07
東名高速道路や中央自動車道など
交通量が多い高速道路にある片側3車線以上の区間。
走行した経験はありますか? そして、各車線の意味を把握していますか。
間違った利用をしていると、交通事故に繋がります。





モータリング・ライター 藤田竜太さんによると
日本の高速道路は、諸外国に比べて車線数が少ないことがネック。
片側3車線以上の区間は高速道路全体の約7パーセントにとどまっています。

道路の車線数は、道路の設計基準交通量と計画交通量の比較で決まることになっていて、
交通量が多いと予測される区間に限り、車線を細分化することで
交通の流れをスムーズにするため、片側3車線以上で計画されているようです。

第一の目的は、車線を増やすことで交通容量、道路のキャパシティを増やすこと。
そして、速度の異なる車両を分離させることや追い越しの機会の提供、
さらに到着時間の予測がしやすくなる事で時間信頼性を向上させるなどの狙いがあります。





3車線の道路の場合は、左から第1走行車線、第2走行車線、一番右が追い越し車線となります。
片側四車線の車線は、左から第一走行車線、第二走行車線、第三走行車線、追い越し車線。

道路交通法では「原則として一番左の第一走行車線を走りなさい、
ただし、片側三車線以上の道は、速度に応じて第二走行車線を走っても構わない」という規定。
原則として第一走行車線を走ることになっていますが、
制限速度が80km/hのトレーラーは第一走行車線を走ることが定められていて、
大型貨物も最高速度が90km/hに制限されているため
これらの車両が走る第一走行車線は通常80km/hから90km/h程度。

普通自動車でも、そのペースで構わない人は第一走行車線を走ればいいのですが
もう少し速いペースで走ることを望む人は第二走行車線を利用して
制限速度の範囲内でより速いスピードで走ることが出来ます。





第1車線を走っていたら前方に大型車が迫ってきたので第2車線へ
第2車線を走っていたけれど、ペースを落としたいので第1車線へと
車線変更をすることもあるでしょう。その時は中央境界線を確認して下さい。

トンネル内など車線境界線が黄色の実線の区間は車線変更禁止。
車線境界線が白色の線が破線か実線であれば車線変更は可能ですが
白の実線はトンネル内やカーブの手前、合流、分岐直前など、
車線変更を控えるべき区間に引かれていることが多いので
より慎重に車線変更を行うか、白の破線に戻るまで待ったほうが無難です。

白い実線は、原則として車線変更や追い越しは禁止。
法的には「車線変更を控えるべき区間」ということをお忘れなく。





最後に追越車線の利用について。
高速道路で追い越し車線を使って前走車を追い越す際は、
制限速度内で走行車線を走る車よりも時速プラス20km/hを目安に
追い越すといいでしょうと藤田竜太さんは話しています。

その時は、必ず加速しながらレーンチェンジして下さい。
追い越し車線のペースは走行車線より早いので、
加速をしないで車線変更を始めると後続車に減速を強いることに
なりかねないので気をつけましょう。

また、追い越し車線は、追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻るのが原則。
追越車線の走行を続けると車両通行帯違反となります。
明確な距離の規定はありませんが、2キロ以内が一つの目安と言われています。

後ろから急いでいる車が近づいてきた場合は、
制限速度の上限で走っていたとしても走行車線に戻ったほうが賢明です。
道路交通法には「追いつかれた車両の義務違反」という違反もあるので、
ペースの速い後続車の接近に気づいたら、走行車線に戻りましょう。





内閣府の「令和7年版交通安全白書」によると、令和6年の通行帯違反件数は4万4197件。
これは、高速道路で、追い越しが終わった後に元の車線に戻らずに
追越車線を走り続ける、第一車線を走行しないなどの違反。
スピード違反のおよそ26万件に続く数字です。
高速道路でもルールを守り、安全に運転しましょう。