第554回 AT車 きちんと乗りこなせていますか?

2025/11/21
今や新車販売は、ほぼオートマチック車。
ドライバーには便利で乗りやすいですが、扱いを誤ってしまうと危険も生じかねません。
あなたは、きちんと乗りこなせていますか?





最近のオートマ車には、シフトレンジがたくさんあります。
クルマを所有する方は、それぞれの機能を把握していると思いますが、
必要な時にレンタカーやカーシェアを利用する方は、戸惑ったことがあるかもしれません。
それぞれの使用目的について、正しい知識を持ちましょう。
今回はお話を自動車ジャーナリストの高根 英幸さんにお聞きしました。


停車中の基本は「P」=パーキングレンジ。
車に乗り込んでエンジンを始動する時にはPレンジのまま
ブレーキペダルを踏みながらエンジンスタートボタンを押したり
キーを回してエンジンをかけ、周囲の安全を確認して「D」レンジにシフトします。
Dはドライブの略。基本的に前進走行時にはDレンジに入れたまま走行します。

そして「R」はリバース。後退時に利用します。
車庫入れ時などDとRと交互に使う時に、アクセルを踏みすぎるケースが結構見られるそうです。
DレンジもRレンジでも、アクセルを踏まない状態で微低速で動くので
ブレーキペダルに足を乗せながら速度を調整しつつハンドリングします。





続いてのシフトレンジは「N」。
ニュートアルの意味ですが、マニュアルミッション車とオートマ車では意味合いが違います。
マニュアル車だとギアがどこにも入ってない状態として多用しますが、
オートマチック車ではNは基本的に使いません。
車が故障した時などの牽引時に使うモードです。

信号待ちでDからNにシフトするドライバーもいますが、
アイドリングの回転数が上がって燃費が低下してしまいます。
また、内部のクラッチ板などが作動することで、若干ですが摩耗が進みます。
こうしたことを踏まえて、信号待ちの時はDレンジのままフットブレーキを踏んで待機しましょう。

さらに、下り坂でシフトレンジをNに入れる方もいるかもしれません。
オートマチック車はDでも非常に抵抗が少なく、アクセルを戻すだけでも惰性で進みます。
Nにすると潤滑ポンプが動かないので、内部で潤滑不良を起こす危険があるのです。





続いて、これがわかりにくいでしょうか。
数字の「3」や「2」、また「S」「L」「B」のモード。
メーカーによって表示が違いますが3は5段階の3速、
2やSは2速で「S」はSecondの頭文字です。LはLowの頭文字で1速。
最後にBはブレーキの頭文字でエンジンブレーキの効果を高めます

オートマチック車の前進モードであるこれらは、
ハイブリッド車、EV、ガソリン車で意味合いが変わってきます。
ガソリン車は3や2にすることで下り坂でエンジンブレーキを使えて、
フットブレーキを温存しつつ、ブレーキの使いすぎで効きが悪くなる
ベーパーロックやフェード現象を防いで下り坂でも安心して走行できます。

また、ハイブリッドカーやEV では、
モーターを発電機として使う回生ブレーキという機能も使えます。
これがLや B のモードですが、ブレーキの節約にもなり、電気を貯めることができます。





そして、簡単に運転できてしまう分、
アクセルとブレーキなどのペダル踏み違いには注意して下さい。

オートマチック車はDレンジに入れて
アクセルを踏むだけでスイスイと走れるのがメリットでありディメリット。
運転に早く慣れて、運転を雑にしてしまう恐れがあるからです。

ギアの入れ間違いやペダルの踏み間違いは、きちんと座ってない人が起こしやすい。
まずは運転姿勢をしっかりと取り、落ち着いて運転することを心がけて下さい。