第583回 後部座席からの交通安全

2026/06/12
あなたは誰かのクルマの後部座席に座る時、どのくらい交通安全を意識していますか?
ドライバーと同乗者は、いわば運命共同体。後部座席に座っていたとしても安全運行に協力する、
邪魔をしない義務と責任があります。ドライバーを気遣って乗車マナーにも注意しましょう。





まず、後部座席もシートベルトをしなければいけません。
2008年6月の道路交通法改正から、後部座席を含む全ての座席で
一般道・高速道路を問わず、着用が義務化されています。

高速道路で同乗者がシートベルトをしていないことで摘発された場合は、
違反点数が1点、ドライバーに課せられます。一般道では、口頭注意です。
この義務化が導入されたのは悲惨な事故が無くならないから。

今回、お話を伺ったモータリング・ライター 藤田 竜太さんによると
高速道路での衝突事故でシートベルトをしていなかった後部座席の人が車の外へ投げ出され
頭部を強く打って死亡した事故があり、車外へ放出された場合の致死率は着用者の約14倍です。

また、正面衝突事故で、後部座席の人が前方シートに激しくぶつかって死亡。
さらに前席の人も後部座席の人とエアバッグに挟まれ死亡したこともありました。
その他、後部座席でシートベルトを装着していなかった人は、
頭や胸の骨折内臓損傷などで亡くなるケースが多いことが分かっています





警察署の資料によると後部座席のシートベルトの非着用時の致死率は、
高速道路で着用時の13.9倍、一般道で着用時の約2.8倍も高くなっています。

後部座席にはエアバッグのない車が多いので
正面衝突の場合は、前席より障害を負う危険性が高いと言われています。
シートベルトを正しい位置につけないと、衝撃で胸骨やあばら骨を折る、
腹部に食い込んで内臓を圧迫するというリスクもあります。

衝突事故の際、シートベルトをしていなければ、
両手を突っ張るだけで支えられる衝突速度は最大で時速7km。
時速60kmで走る車が壁などに衝突すると14mのビルから落ちるのと同じ衝撃を受けます。
「万が一に備えるなら、1万回車に乗ったら1万回シートベルトをしなければいけません」。
藤田さんは、そうおっしゃっていました。





そして、誰かのクルマの後部座席に座っていても
安全についての義務や責任がないわけではありません。
道路交通法では、運転者だけでなく、同乗者も罪に問われるケースがあります。

その1つが同乗罪で、ドライバーが飲酒運転をしている、
しようとしていることを知りながら同乗した場合。

また、酒気帯び運転や無免許運転の恐れがある人に対して
運転をそそのかすような行動や、命令した場合は、
重大違反そそのかし等と呼ばれる違反となります。
「急げ」「スピードを出せ」など、運転者に違反運転を促す行為もこれに相当します。





特に若い世代の友人複数でのドライブは、楽しく、はしゃいでしまうもの。
ただ、そうした行動は、そこかしこに危険を孕んでいます。気をつけて下さい。

急な右左折を強引に指示したり、スピードを出すように命じる行為は危険です。
見通しの悪い道路や悪天候時など、ドライバーが特に運転に集中すべき場面では、
大きな声を出したり、突然話しかけることは避けましょう。
スマホの画面をドライバーの視界に入る位置で操作するのも安全運転の妨げになります。
急に窓の外を指差したりして、運転手の意識をそらすのもやめましょう。

そして、ドライバーが運転に集中しやすくリラックスした車内作りに協力することや
エアコンの温度調整やオーディオ操作など、ドライバーが運転以外に気を取られがちな作業を
率先してやることは、安全運転の良いサポートになります。
後部座席に座っていても安全運転の一端を担っていることを忘れずにいましょう。