第8回 自動車教習所 Mランド

2015/05/21
島根県 西部の益田市に驚きの自動車教習所があります。
Mランド、益田ドライビングスクール。

人口5万人を切った過疎が進む地域に
毎年6千人の教習生が、合宿で免許を取りに、全国から集まります。

卒業生の数も、全国1,300の自動車教習所の中で、
平成23年は3位、24年と25年は5位・・・毎年ベスト10入り!

今年92歳になる代表取締役の小河二郎会長が、
地元、益田の若者のために自動車教習所を設立したのは昭和39年。
その後10年ほどは業績が伸びたものの、
景気の低迷や人口の現象で経営は厳しくなります。
そこで、都市部から人を呼び込もうと、合宿形式に方向転換。
経営方針も変え、さまざまな取り組みを始めました。

まず唯一のルールは「挨拶」。
教習生をゲスト、教官をインストラクターと呼び、
教官は指導する立場、教習生は指導される立場という主従関係を解体。
その上でゲストとインストラクターも、ゲスト同士にも、挨拶することを求めます。

このルールを導入したのは会長の経験から。
ある時、外国人はエレベータであっても気軽に挨拶をするのに日本人は黙っている。
情けないと感じて、この状況を変えたいと思ったのがきっかけだったそうです。

そして、奨励しているのがトイレをはじめとする清掃。
清掃によってゲストの人間性も磨かれ、
観察眼も身につき、交通安全に役立つというのです。

用意しているのは「挨拶」「清掃」の義務的なことだけではありません。
教習所内ではMマネーと言われる通貨が流通。
Mマネーは窓口でお金と替えるか、清掃あるいは
ゲストが教習所内でお世話になった人に感謝の気持ちを記し、
指定のポストに投函するサンキューレターによってゲットできます。

それは茶室、テニス、ゴルフ、岩盤浴、バトミントン、
カラオケ、ネイルサロンといったアミューズメント施設で使うことができます。

人間的な成長を促す中に「交通安全」の要素も盛り込み、
挨拶や掃除を通して友人もできて、
用意されたアミューズメントで思い出づくりもできる、
それがMランドの人気の秘訣なのでしょう。
      
毎年夏には益田市民にも開放する、手作りMDSまつりも開催。
およそ3万人が集まり、去年は100人以上の、
OB、OGも足を運んだそうです。