第15回 KM理論 後編

2015/07/09
今週は先週に続いて、長年にわたり交通事故防止の研究に取り組んできた
九州大学 松永 勝也 名誉教授が提唱するKM理論の後編。
松永教授とともに2012年に事故なき社会 株式会社を設立した
代表取締役 江上 喜朗さんのコメントでお送りしました。

先週の復習をすると交通事故のパターンは、
「追突事故」が4割弱、「出会い頭の事故」が3割強。
これを、それぞれ1つ、2つの運転習慣で無くし、
「交通事故を7割減らしてしまおう!」という提案がKM理論です。

先週は追突事故は「4秒の車間時間をとる」ことで避けられる”という話でした。
今週は「出会い頭」の事故をなくす運転習慣「一時停止を2回する」ことについて。
クルマを運転する方、信号がない交差点で、きちんと一時停止をしていますか?
実はそう思っていても、本当にそれを実行している人は少ないのです。

とある調査によると、きちんと一時停止できているドライバーは5%。
それは、停止線の前で止まっても、交差点の状況の確認が出来ないということで、
止まるなら、もう少し、見える位置に行こうと、停止線を通り過ぎ、
少し前に行ったところで止まることがほとんどだからです。

信号がない交差点は、一時停止線で止まると、交差する道路の状況が見えにくいもの。
一時停止線を過ぎてから止まっている人も多いと思います。
それが「出会い頭の事故」に繋がるのです。

停止線を越えて交差点の中まで少し進入した状態で止まろうとすると、
車が歩道や路側帯を塞いだ状態になります。
交差点を走っている車は避けたとしても、
道路の端を走っている自転車やバイクにとっては、
いきなり停止線を越えて車が飛び出てくる状態になる。
車が頭を出した時に道路の端を走ってきた自転車やバイクにぶつかる可能性があるのです。

こうした「出会い頭の事故」をなくすのが「一時停止2回」の習慣。
必ず停止線の手前で止まれば運転席からは自転車やバイクが見えなくとも、
自転車やバイクの運転手からは車の頭が少し見えて対処ができるのです。
そういった意味で自分が見るのではなく、自分を見せるという意味で、まずは止まる。
そして、再徐行・・・歩くようなスピ―ドで、ジワジワと前に出て行く。
そして最後に、交差道路が見える位置にきたら、もういちど止まる。
確認をする・・・という意味での2回の停止をすれば
「出会い頭の事故」を回避できる可能性が高まります。

おさらいをすると時速60km以下で走っている場合は「車間時間を4秒空ける」。
そうすれば「追突事故」を回避できます。
そして「信号のない交差点では一時停止を2回する」。
そうすれば「出会い頭の事故」を回避できます。
「KM理論」が導き出した2つの習慣を身につけるようにしてください。

最後に松永教授と江上さんが設立した事故なき社会 株式会社では、
「KM理論」に基づいた安全運転研修を企業向けに行っています。