練習を初めて少しすると野村忠宏さんがやってきた。
柔道部員は野村忠宏さんという憧れの存在に隠し切れない高揚感を表情に浮かべていた。
野村忠宏さんといえばアトランタ、シドニー、アテネとオリンピック三連覇を成し遂げた偉大な人物である。
柔道をやっていない人でも知っているほどの人物なのだから、柔道部員からしたら雲の上の人のような存在。
練習前のインタビューでゆたまるは、「めちゃくちゃワクワクしている。嬉しい。」と話してくれた。
野村さんの柔道の試合を見て「背負い投げが凄い選手で見ていて感動した」とも言っていた。そんなゆたまるの得意技も背負い投げだ。
「今日は技術面ももちろん、オリンピックを経験している野村さんの試合前の気持ちも得たい」と意気込んでいたゆたまる。ゆたまるは次の日にインターハイ予選を控えていた。
礼から改めて始まった練習。
まずはこの機会を与えてくれたPOCARI SWEATから「水分補給」の大切さを指導。
野村さんも水分補給に意識を向けているそうだ。こまめに摂ることはもちろん何を摂るかにまで意識を向ける。それが第一線で戦ってきたプロフェショナルの強くなる要素の一つなのだ。
いよいよ野村さんによる本格的な指導が始まった。
まずは打ち込み。
一通りいつも通りの打ち込みを見た野村さん。
「柔道の練習はオリンピックに出る選手も高校の柔道部の練習も大して変わらない。基本の型をしっかりしなければならない。自分はチャンピオンになった後もずっと大事にしてきた基本の打ち込みの練習。同じ打ち込みでも意識を持って1本1本、本気でやることによってその効果は変わってくる。」と指導。
この時間だけで技術面が格段に上がることは難しいだろう。
野村さんは練習に取り組む姿勢、意識、心持ちを伝えることで部員に強くなる術を教えてくれた。