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ON AIR BLOG / 2016.03.02 update


今日のトピックスは「民主党と維新の党の合流について」。今日解説して頂くのは、毎日新聞 世論調査室長 平田崇浩さんです。

Q 民主党と維新の党が一緒になるそうですね。
A 民主党に維新の党が合流して、新しい党名に変えて、3月27日に結党大会を開くそうです。と言われても、ピンとこないでしょう?

Q あまり盛り上がっている感じがしませんね。
A 報道各社の世論調査でも、この新党には「期待しない」という声が強いのが現状です。昨年、維新の党がおおさか維新の会と分裂していますから、維新の党に残った人たちが民主党と一緒になったところで、衆院で90人そこそこの新党です。「野党結集」とか「野党再編」とか言うにはほど遠いですから。

Q どうしてそんなことになったのでしょうか。
A 安倍晋三首相、安倍政権による野党分断工作が効いているように思います。2、3年前まで「第三極」という政治用語がよく使われていたのを覚えていますか。渡辺喜美さんたちがつくったみんなの党とか、橋下徹さんが率いた大阪維新の会や日本維新の会……などなど。自民党と民主党の間で政権交代が行われる中で、自民でも民主でもない「第三極」の政党を名乗った人たちがいました。

Q 小さい野党がたくさんできましたよね。
A 野党がまとまるのではなく、いくつもの政党に分かれている方が政権与党にとっては都合がいいのです。もちろん、民主党が野党に転落したのは民主党政権が失敗したからですし、その後も民主党に国民の支持が戻らないのは、民主党がしっかりしないからだと思います。でも、野党が一つにまとまらないように、安倍首相がうまく第三極政党を利用してきたからだとも言えるのではないでしょうか。

Q 安倍さんは橋下さんと仲がいいと聞いたことがあります。
A そこです。安倍首相はこの3年間、民主党を徹底的に批判しながら、橋下さんたちには繰り返し協力を呼びかけてきました。昨年、維新の党が分裂したのも、民主党との「野党結集」を目指す松野頼久代表たちと、それを嫌った橋下さんたちが対立したからなのですが、安倍首相や菅義偉官房長官は橋下さんやおおさか維新の会の松井一郎代表と何度も会って、協力関係をつくってきたわけです。現におおさか維新の会は民主党と維新の会の合流を批判し、安倍首相の悲願である憲法改正に協力する姿勢を鮮明にしています。

Q 今は自民党だけが強い「1強多弱」って言われますよね。これからもその状況は続くのでしょうか。
A 安倍首相の野党分断工作に揺さぶられながらも民主党と維新の党が合流を決断したのは、7月に参院選が控えていて、もしかしたら衆院解散・総選挙も一緒に行われるかもしれないからです。このままでは選挙で惨敗するのは確実でしょう。それよりは、小なりといえども野党が結集して新党の旗で支持を高めようと。見方を変えれば、選挙があるから渋々、追い込まれるような形で新党を作ったと言えなくもありません。

Q 新党の名前はどうなるのですか。
A 新党の名前に「民主」を残したい岡田代表たち民主党執行部と、まったく新しい名前にすべきだと主張する維新の党側が対立しているようです。名前を変えただけで政党支持率が上がるとは思えませんが、このまま「1強多弱」の政治状況が続くことが好ましいとも言えません。新党が安倍政権に対抗できるようなしっかりとした理念を掲げて国民にアピールできるかどうか。

民主主義国家として、強い与党に対抗できる野党が誕生するのはいいこと。 国民の気持ちを代弁した強い政策を持って、日本をよくしてほしいですね。

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