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ON AIR BLOG / 2016.03.23 update


今日は、新しく党名を「民進党」に変えた「民主党」について。毎日新聞世論調査室長 平田崇浩さんに解説していただきました。

Q 民主党が党名を変えることになったとか?
A 3週間前のこの番組で、民主党と維新の党が合流して新党をつくるというお話をしましたが、新党の名前が「民進党」に決まりました。

Q 「みんしんとう」ってどういう意味ですか?
A 「民が進む」と書くのですが、そもそも「民進」という日本語がないので、イメージしにくいですよね。台湾に同じ「民進党」という政党があるのですが、これは「民主進歩党」の略称で、名前からその政党の理念が何となくイメージできますよね。でも、今度の「民進党」は略称でも何でもなく、そのまま「民進党」なのだそうです。これでは英訳もうまくできませんので、英語表記は「The Democratic Party」、そのまま日本語に訳すと「民主党」です。どこかちぐはぐですよね。

Q どうして党名を変える必要があったのでしょうか?
A 一言で言えば、民主党政権の失敗のイメージが強すぎたということでしょう。民主党内の一部や維新の党側には、民主党をいったん解党して、一から新しい政党をつくるべきだという意見もあったくらいですから。最終的には民主党側が「立憲民主党」、維新の党側が「民進党」を主張して、世論調査までして「民進党」に決まったわけです。

Q 「立憲民主党」も古めかしい名前ですね。
A 明治時代に大隈重信が中心になって結成した「立憲改進党」や伊藤博文が結成した「立憲政友会」という政党があったことは教科書で習ったのではないでしょうか。憲法に基づいて政治を行うこと、憲法の規定によって権力を縛ることを「立憲主義」と言いますが、民主党は安倍政権が集団的自衛権の行使を禁じてきた憲法の解釈を勝手に変えたと批判してきたので、政党名に「立憲」を付けようと考えたのです。

Q それが世論調査で支持されなかったと?
A 民主党側はとにかく「民主党」という名称を残したくて、それに「立憲」を付けて新党っぽくしようとしたわけですが、世論調査では「民進党」を支持する回答の方が多かったということです。どちらにしても、新党をつくって何がしたいのかがはっきり伝わって来にくいですよね。「立憲なんとか党」なんていう古くさいイメージの名前が世論調査で支持されると思うこと自体、理解できないというのが私の感想です。

Q で、その「民進党」は何をしたいのでしょうか?
A 2009年に民主党が政権交代を果たしたときのイメージは「古い自民党に対抗する改革政党」だったと思うのですが、もう一度、その「改革政党」のイメージを取り戻したいのだと思います。

Q 何を改革するのでしょうか?
A そこですよね。共産党と一緒になって安全保障関連法の廃止を訴えているかと思えば、新党の綱領案に入れていた「原発ゼロ」の目標を「原発に頼らない」に弱めたりして、今ひとつ、政党としてのスタンスが定まらない感じがします。

Q 格差社会の問題や、子育てのしやすい社会づくりに取り組んでほしいと思うのですが。
A 民進党の綱領案には「共に生きる」と書く「共生」であるとか、「未来への責任」とか、「生活者、納税者、消費者、働く者の立場」といったことが書かれています。これは民主党がこれまでも主張してきたことですが、その民主党は国民の信頼を失ったわけです。民進党になって、もう一度、信頼される政策を打ち出していけるのかどうか。

この3 年間、与党に全く歯が立たなかった日本の野党。 民進党の最大野党として、政府の監視役としての役目を果たせるのか?そこをしっかり見ていきたいですね。

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