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毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION

ON AIR BLOG / 2017.05.10 update


毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。今日のトピックは、 「土星探査機「カッシーニ」のグランドフィナーレ」について。 毎日新聞・専門編集委員、このコーナーのサイエンスニュース担当、 青野由利さんに解説していただきます!

Q:今日はアメリカの土星探査機「カッシーニ」の最後のミッション 「グランド・フィナーレ」について。この間、土星の環と、土星の間を探査機が通過した?
A 先月の26日に、土星と、土星の一番内側のリングの間 を通り抜けることに成功したんです。 こんなところを飛んだ探査機は、もちろん初めてです。この時に、「カッシーニ」のカメラが撮影した土星の様子が 動画で公開されていましたが、表面の大気の不思議な構造が見えていました。

Q そもそも、カッシーニって?
A 1997年10月15日に打ち上げ。20 年近く宇宙を旅してきた。 打ち上げの時は、欧州が開発した「ホイヘンス」もいっしょ。 7年後の2004年に土星の周囲に到着。「ホイヘンス」は2004年 12 月に本体から切り離され、 土星最の衛星「タイタン」に突入して着陸、大気の様子などを観測し、 地球に伝えました。「カッシーニ」はその後も土星や衛星の観測を続け、 この間は、衛星「エンケラドス」の海の活動の様子も分析していました。 生命が存在してもおかしくない、という話でした。 ちなみに、カッシーニは、土星の環が、複数の環と その間にあるすきまでできていることを発見したイタリア人。 ホイヘンスは、土星の周りにある耳のようなものがリングであることを確認したオランダ人。 そして、いよいよ先月末から最後のミッションに。

Q ミッションはどういう内容なんですか?
A この「グランド・フィナーレ」では、 土星本体とリングの間を通過する軌道を22回、回ります。だいたい週に1回、土星とリングの間隙を通り抜けることになっていて、 これまでに3回の通過に成功しています。 間隙の幅は、2400キロぐらい。

Q 土星とリングの間には、チリが漂っていたりしない?
A もちろん、その可能性はあったので、 探査機「カッシーニ」のアンテナを「盾」のように使って、 探査機が怪我をしないようにする計画でした。 ところが、1回目の通過でわかったのは、 想像以上に粒子が少なくて、スカスカだったこと。探査機のエンジニアは喜びましたが、 リングを研究している科学者にとっては、 なんで粒子が少ないのか、謎が深まったようです。

Q 間隙の通過で何がわかる?
A リングがどうやってできたのかといった謎や、 土星を構成する物質について、新しい発見があると期待されています。

Q 22周回った後は?
A 9月15日に土星に突入して、土星の大気を観測した後、ミッションを終えます。火星の次は土星。どんどんそのエリアは広くなってきている。 宇宙の謎の解明の日も近い??かもしれません。

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