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ON AIR BLOG / 2017.09.20 update

今日のトピックスは「衆議院の解散について」。毎日新聞 政治部編集委員 平田崇浩さんに解説していただきました。

Q 今回のテーマは「衆議院の解散」。急に選挙をやることになったようですが。
A 臨時国会が9月28日に召集されるが、安倍首相はその冒頭で衆議院を解散するつもりのようだ。10月10日公示、22日投開票の日程で衆議院の総選挙が行われる見通し。

Q 突然の話でびっくりしたのですが。
A 私たちも驚いた。北朝鮮が6回目の核実験を行い、北海道の上空を通過する弾道ミサイルを2回も撃った。こんなに情勢が緊迫しているときに、まさか選挙をやって「政治空白」をつくるようなことはしないだろうと思っていた。

Q なぜいま?
A 野党は「敵前逃亡解散」だと批判している。臨時国会が始まれば、森友学園が格安で国有地の購入契約を結んでいた問題や、加計学園の獣医学部新設が特別に優遇されていたのではないかという疑惑で再び安倍首相を追及するはずだった。首相はそういう疑惑を晴らす説明がいまだにできていない。国会を開いてまた内閣支持率が下がる前に衆議院選挙をやってしまおうという「森友隠し」「加計隠し」の解散ではないかと。

Q 選挙をやっても、選挙の後にまた追及されるのでは?
A いま衆議院選挙をすれば、次の国政選挙は再来年の参議院選挙。それまでには森友・加計問題も忘れられると思ったのかもしれない。現在の衆議院議員の任期は来年12月まで。いずれ衆議院選挙をしなければならないのであれば、勝てるうちにと。

Q そんな思惑は国民に見透かされてしまうのでは?
A こんな解散はけしからんと思ったとしても、代わりに投票したい野党があるかどうか。

Q 民進党はいかがでしょう?
A 民進党は前原誠司さんが新代表になって、幹事長に山尾志桜里さんを起用して再出発しようとしたら、その山尾さんが不倫スキャンダルで離党に追い込まれた。そんな民進党に見切りをつけて離党する議員が続出している。

Q 「小池新党」ができるのでは?
A 小池東京都知事の側近といわれる若狭衆院議員が、民進党を離党した細野豪志さんと新党をつくろうとしているが、まだ新党の理念・政策も参加メンバーもわからない状態。安倍首相にしてみれば、いま解散すれば新党の候補者擁立が間に合わないという計算もある。

Q いまのうちに選挙してしまえと?
A それで自民党が議席を減らすことがあっても、細野・若狭新党は憲法改正に前向きなので、安倍首相がどうしてもやりたい憲法改正には協力してもらえると考えているようだ。

Q 話を聞いていると、国民のための選挙になっていないのでは?
A 「解散の大義」がない。選挙をやって国民に何を問うのかが見えない。安倍首相の「自己保身解散」だと野党は批判している。北朝鮮問題に対処するために安定した政権基盤が必要だとか、2019年に消費税率を10%に上げる分の税収を子育て支援に充てるだとか、そんな話も出てきている。しかし、与党が衆議院の3分の2を占めている現在が一番安定しているわけだし、子育て支援の拡充は民進党も主張しているのだから、選挙をする前にやってもいいのではという気も。

Q だれのためだかわからない選挙ですが、もう決まったのですか。
A おそらくもうだれも止められない。選挙の争点をしいて言えば「安倍政権を支持するか、支持しないか」ではないか。

北朝鮮問題だけじゃなく、少子化問題、保育児童問題だってまだ解決していません。今の内閣ってちょうど1ヶ月前に誕生した改造内閣。まだそれぞれの大臣が全く仕事をしていないのに解散ってどうなんでしょう?

安倍首相、25日に解散についての会見を行うそうですが、そこでどんな説明があるのか?しっかりと聞きたいと思います。

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