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ON AIR BLOG / 2011.10.05 update
「心配される物価の上昇」について。
毎日新聞編集委員の岸井さんに
解説して頂きました。



物価、ものやサービスの値段ですが、
統計としては、いろいろあります。
大きく分けて・・・

●資産つまり土地の価格である地価、
●私たちの買い物の価格である消費者物価、
●企業が出荷する価格である企業物価。

今の傾向を大雑把に見ると、
地価は引き続き下落傾向、企業物価はプラスの月が多いものの、
マイナスの月もあるというところ。これに対して、
消費者物価がここにきてプラスになる月が増えている
――という状況です。


■気になる消費指数とは?
消費者が実際に購入する段階での
商品の小売価格(物価)の変動を表す指数で、
総務省が毎月末、全国の前月の数字と、
東京都区部のその月の速報の数字を発表しています。
英語で「Consumer Price Index」といい、
その頭文字を取ってCPI(シーピーアイ)と呼ばれます。
消費者がよく買う食料品や衣料品など
約600品目の価格変動を、全国3万店舗などで
継続的に調べています。
モノだけでなく、航空運賃、電話料金などサービスの値段も含みます。

■10 月1 日からは、
ミニ値上げラッシュという感じです。

まず乳製品。
明治と雪印メグミルクは1日から、
一部のバター商品の価格を3〜5円
アップし、森永乳業も21日に1商品を5円値上げします。

電力料金も北海道電力を除く
全国9社が10 月から値上げしました。
東京電力は標準世帯で前月より
78円高い月6854円になります。
これは原発事故とは関係なく、
輸入石油などの燃料価格の上昇に連動して自動的に
値上げする仕組みになっているためです。

製粉会社に対する輸入小麦の政府売り渡し価格も、
国際市況の上昇を反映して10月から平均2%上昇。
今後、パンなどの値上げにつながりそうです。

ウインナーやソーセージも、オーストラリアや中国などが
近年、干ばつや冷害に見舞われた影響で、
羊の飼育頭数が激減し、ウィンナなどの皮に使用される
羊腸の輸入価格が高騰しているそうで、
大手食肉加工品各社は、
今のところ値上げの予定はないといいますが、
値上げは時間の問題という声もあります。

■今後の見通しは?
消費者物価指数を構成する品目のどれだけが上がり、
どれだけが下がっているかを見ると、
7、8月とも53%が値下がり、値上がりは36%で、
まだ全体として値下がりの基調は変わらないと見られます。

円高や商品市況の上昇など、
いろいろな要素が複雑に絡み合うので、
単純にはいえませんが、根本的なデフレ傾向は
まだ続くとみるのが一般的です。
賃金が上がらないこともあって、
消費意欲、買いたいという気分が弱い。
だから企業も値段をあげられない、
むしろ下げなければ売れない、
それで給料も上がらない…という
デフレの悪循環はまだ続いているということです。

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