みらい図鑑

Vol.83 「味噌玉から作る信州味噌」 長野県

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今回は、日本の食卓には欠かせない“味噌”の話題です。
みなさんはどんな味噌を使っていますか?
そもそも、毎日のごはんで味噌汁は飲んでいますか?

「手前味噌」という言葉があるように、
かつて日本では、味噌は、それぞれの家で作られていました。
自分の家の味こそがイチバン。
そこから、「手前味噌」という言葉が生まれたんですね。



ところが近年では大量生産によって、品質も味も画一化が進み、
味噌の多様性はだんだんと失われつつあります。

そんな中、フォーカスしたいのは、長野県の松本市にある味噌蔵。
ここは「味噌玉造り」という伝統的な製法で味噌を作っている会社です。



最初に、大豆だけを煮たものをつぶして玉を作ります。
それを毎年の天候や気温を見極めながら、三週間、熟成させていく過程で、
歴史ある蔵そのものの「菌」や「酵母」が混ざり合っていきます。
それが味噌を濃厚な味にしていくんだそうです。

非常に手間と時間がかかるこの味噌玉造り、製造工程のほとんどは機械化不可能。
もちろん、年ごとの天候によっても発酵が左右されます。




創業1832年のお味噌屋さん。
「萬年屋」、6代目の蔵元・今井誠一郎さんのお話です。

「私たちが作っている味噌玉造りというのは、
独特な香りがあって独特な味わいがあるものなんですね。
たとえば新しく新築の工場を作ってしまうと、
おそらく、そこでは味噌玉を作ることはできません。
そういったもの継承して、召し上がっていただきたいなと思っているんです。」




たとえば信州だけでも味噌蔵の数は100以上。
それぞれに味が違うのはもちろんですが、同じレシピで同じ作り方をしても、
蔵が違えば出来上がる味はまったく違う味噌になるそうです。
それでは、どのようにして自分の好みに辿り着けばいいのでしょうか?

ふたたび、今井さんです。

「味噌で面白いなと思うのは、匂いを嗅いだり舐めてみたりしても、
味の違いは分かりにくいと思うんです。
そこで、“豆腐の味噌汁”というのをオススメしています。
いちばん特徴がわかって、お好みの味噌に辿りつきやすいんじゃないかと思います。」



1832年の創業以来守り続け、信州の気候と風土が蓄積された「萬年屋」の蔵の味。
こだわり製法で天然醸造の味噌を、いちど豆腐の味噌汁で試してみたくなりました。

Vol.82「相撲のぼり」 岐阜県

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日本において、1400年の歴史と伝統を誇る「大相撲」。
会場の外にズラーッと並んでいる色鮮やかな「のぼり旗」、
一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

「相撲のぼり」と呼ばれる旗、その半分以上は岐阜県の会社で作られています。

創業140年、「吉田旗店」、6代目の吉田聖生(よしだ・まさお)さんに伺いました。

「ひとつひとつ文字も手書きですし、染めも手作業なので、
それぞれの人の想いがこもっているわけですね。
“相撲のぼりといえば吉田だな”と言って頂けますので、
誰にも負けないものを作ろうと、強い気持ちで臨んでいます。」



縁起物として、基本的には毎場所作られるという「相撲のぼり」。
力士の四股名は、手書き。
下書きなしで力強く文字を書いていきます。

そして、文字の色を決める作業もふくめ、
すべてが熟練の職人さんのセンスで決められていきます。

「コンピューターで簡単に綺麗なものを、いろいろ作れるようになった時代だと
思うんですが、注文される方の想いを表現することに関しては、
やっぱり手作りじゃないと伝わらないのではないかと、ぼくは思うんです。」



全国から旗屋の後継者たちが伝統の技を学びに来る「吉田旗店」。
最後にこんなことを伺いました。

若い方々に、吉田さんが伝えたいことって何ですか?

「技術よりもセンスよりも、なによりも、心なんです。」

取組だけでなく「相撲のぼり」もじっくりと見て回る・・・。
大相撲の楽しみ方がひとつ増えますね。

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