みらい図鑑

Vol.35 「ブックカバー」 東京都

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読書の秋。皆さん、本を読んでますか?
1冊1冊、本にかけるブックカバー、それが今回のタカラモノです。
ブックカバーって、実は日本独特の文化だということをご存知でしょうか?

ブックカバーには本を保護するという目的もありますが、
例えば、電車の中で読むとき、他の人に“どんな本を読んでいるのか見られるのが恥ずかしい”と感じる日本人の繊細さ。
そんな独特の感性が、日本でブックカバー文化を浸透させてきました。
「本にカバーをかけて読む」。海外では見られない光景です。



こちらは、東京・谷中でオリジナルのブックカバーを扱うお店「旅するミシン店」。
店長の植木ななせさんが、デザイン・制作・販売、全てを手掛けています。



「イラストがあって、肌触りがあって、
持っているとちょっと楽しい、ちょっとうれしい物を作れたらと思って制作しています。」

ブックカバーのイラストは動物の絵が中心。
麻と綿の表地の肌触りがあり、裏地のバリエーションがあり、、
そういうものが重なって現在のオリジナルブックカバーになりました。

本を守るためだけでなく、「この本にはこのブックカバーをかけたい」、
「今度買ったこのブックカバーにはこの本をかけたい」など、
本によって、さらには気分によって、ブックカバーを替えるお客さんがいることに、
新たな驚きと嬉しさを感じているという植木さん。

そんな植木さんのもとには、世界中の読書好きがブックカバーを求めてやってきます。

「いま、6種類サイズを作っていますが、ブックカバーのサイズもいろいろ取り揃えておけば、
もしかしたら、このブックカバーに合わせて、
ちょっと違う分野の本を読んでみようって思ったりしてくれると良いなと。
で、本が売れないと言われて久しいですけど、
100年後でも、普通にまだ本はあるんじゃないかと予測しています。」



ブックカバーを作ったことで、思いのほか、本を読む人が多いことに気付かされました、、
そう語る植木さん。
喜んで買ってくれたお客さんの姿を見て、ご自身もまた豊かな気持ちになっているんだそうです。

お気に入りの本にお気に入りのブックカバー。
日本人ならではの美意識、きっとこの先も続いていくことでしょうね。

Vol.34 「紀州の梅干し」 和歌山県

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日本人にとって秋の食欲をそそる”究極のごはんのおとも”が、今回のタカラモノ。
「紀州の梅干し」です。

梅の生産量日本一を誇る和歌山。その歴史は51年前に遡ります。
1965年に品種登録された「南高(なんこう)」の栽培が、みなべ・田辺地方で拡がり、
大粒で果肉が柔らかく質の良い「南高梅」の大産地として発展。
紀州梅の産地は、昨年12月、「みなべ・田辺の梅システム」として世界農業遺産登録されました。

およそ400年にわたり、梅を中心に地域資源を有効活用して、
生物多様性や農文化を育みながら、持続的に生産されてきた農業システムが、
「みなべ・田辺の梅システム」です。



代々と受け継がれ、長年にわたって日本中の食卓を彩ってきた「紀州の梅干し」。
その愛される理由を「紀州田辺梅干協同組合」、理事長の中田吉昭(なかた・よしあき)さんに伺いました。

「果肉のきめの細やかさ、非常にやわらかくてとろけるような食感。
そして梅そのものが持つ味の良さですね。
それが活かされているからこそ、紀州梅干しっていうのは美味しくて、
多くの人に好まれているんだと思います。私も毎日、食べております。」



現在も、昔ながらの伝統製法で造られている「紀州の梅干し」。
収穫した梅を1か月ほど塩で漬け込み、天日干しにしたあと加工。
日本の伝統的健康食である、昔ながらの酸っぱくて塩辛い梅干しを作り続けています。





地元の小学校では、梅干しを学び、給食で食べる食育の授業も行われていて、
大人気なんだそうです。

「子供さんたちも梅干しが大好きだって言ってくれています。
この子どもたちが将来もずっと梅干しを食べ続けてくれる、
100年後も、紀州梅干しが、日本だけでなく世界中の人々の健康に活かされている、
それを夢見て作り続けていきたいと思っております。」

和歌山が誇る「梅干し」。
ニッポンを飛び出して世界中で愛される未来は・・・もう来ていますよね。
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