みらい図鑑

VOL.200「お米のロウソク」

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ロウソクには、洋ロウソクと和ロウソクがあります。

石油から採れるパラフィンが原料の洋ロウソクに対して、
和ロウソクの原料は、植物性。

1本1本、手作業で作られていくために大量生産はできませんが、
和ロウソクは、煙が少なく、ロウが垂れにくいのが特徴です。

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天然素材から採れるロウを素材とするため、
和ロウソクを製造するメーカーは少なくなっているのが現状のなか、
100年以上続く老舗の和ロウソク工房が、滋賀県高島市にあります。

大正3年創業の「大與(だいよ)」。

“自然を暮らしの中に取り入れた、丁寧で豊かな暮らしを”コンセプトに、
神事には欠かせないロウソクを作りながら、
現代の暮らしに合わせた和ロウソクも展開しているブランドです。

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そんな「大與」が提案するのが、「お米のロウソク」。
環境や人に優しいロウソクとして、注目を集めています。

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「大與」、代表の大西巧(おおにし・さとし)さんに伺いました。

「お米のロウソクは、米糠蝋といって、
お米の糠から抽出したロウを100%使っている和ロウソクです。
ロウが垂れにくく、においもススも少ないんですね。
なによりも、米糠蝋100%で出来るっていうところに、この価値があると思っています。」

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一人前の和ロウソクの職人になるには、10年かかると言われています。

蝋の温度や外の気温、さらには、自分の体調や精神状態まで、
一瞬一瞬、変わっていく空気を掴みながら、
淡々と仕事を進めることができるようになるまでの時間。
それが10年という月日なんですね。

1本1本、熟練の職人が作り上げる「和ロウソク」。
柔らかな炎と静かなゆらめきに身をゆだねてみませんか?

VOL.199「起き上がり小法師」

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福島県・会津を代表する伝統民芸品、「起き上がり小法師(こぼし)」。

赤ちゃんをかたどったかわいらしい人形は、
何度倒しても起き上がることから、
「七転八起」の縁起物として愛されています。

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「起き上がり小法師」が誕生したのは、約400年前。
当時の藩主・蒲生氏郷公が藩士に作らせて、
お正月に売り出したのが最初だと伝えられています。

そんな会津では、毎年1月10日に開催される初市(はついち=十日市)で、
それぞれの家庭が、家族の人数プラス1個の「起き上がり小法師」を買っていきます。

家族の人数より一つ多く買うのは、家族や財産が増えるようにという願掛けと、
無病息災や家内安全のための、身代わり的な意味合いから。

これを一年間、神棚などに飾り、
一年が終わると、小正月に行われる”歳の神”(どんど焼き)で、
お焚き上げする習わしです。

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そんな、起き上がり小法師ですが、
昔ながらの人形を現在に伝えるのは、
会津若松市にある「山田民芸工房」だけとなっています。

ひとつひとつ、丁寧に手作りされ、最後は、にっこりと笑った表情が描かれる、
「山田民芸工房」の起き上がり小法師。
一体一体、微妙に異なる形や顔つきは、手仕事ならではです。

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「山田民芸工房」の5代目、山田賢治(やまだ・けんじ)さんに伺いました。

「七転び八起きといって、転んでも、また起き上がる。
なにか問題があって転んでも、そこで立ち上がって、
前に進んでいくのが人生だと思うんですね。

いま、起き上がり小法師を作っているのはわたしのところだけですが、
昔と同じように変わらずに、
未来になっても、そういう気持ちでやっていきたいと思っています。」

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東日本大震災からの復興へ向けて起き上がる、
“東北のシンボル”としても愛された起き上がり小法師。

転んでも、また起き上がってほしい。
日本が元気になってほしい。
そんな想いで山田さんは、今日も起き上がり小法師を作っています。
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