みらい図鑑

VOL.194「病院がプラネタリウム」

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本物の星空をなかなか見ることのできない方に、星空を届けたい。
そんな想いで、全国の病院をめぐっているプロジェクトがあります。

「病院がプラネタリウム」。

長期入院している子どもたちや、難病の方のいる施設へ行って、
患者さんも、お医者さんも、看護師さんも、みんなで一緒に星を眺めるんです。

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2014年からスタートしたこのプロジェクト、
これまでに、250箇所ぐらいの病院やその他のいろんな施設をまわり、
のべ2万5千人ぐらいの人が星空を体験しました。

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「病院がプラネタリウム」の企画運営をしている「星つむぎの村」、
共同代表・高橋真理子さんにお話を伺いました。

「星って、ほんと、世界中どこからでも見られるものですよね。
そして、もうずっと昔から人間のみならず、生命にとって共有の風景だと思うんですね。
自分のことを見つめなおしたり、誰かのことを思い出したり、
初対面なのに、なぜか、自分の気持ちを話したり、外の世界とつながることでもあるし、
同じ気持ちで空を見上げている人たちがいるなって思えたり。
やっぱり一人じゃないというね。」

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学生時代、オーロラの研究をしていて、
次第に人と向き合う仕事や、科学と社会をつなぐ仕事がしたいという気持ちが強くなり、
プラネタリウムに携わったという高橋さん。

プラネタリウムは、星空の疑似体験。
本物の星空を見られない人にこそ意味があると、
長期入院をしている方や難病の方に向けた、この活動を始めました。

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「実際に病院のなかで、お医者さんとか看護師さんも一緒に見るわけですね。
普段は、治す、治される、という関係性しかないところが、
フラットになって、星空の下ではみんなとても小さいし、
でも、小さいからこそ出逢えたことが愛おしいと思えてくるんですね。」

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すれ違っても挨拶をする程度だった人が、一緒に星空を眺めたあとは仲間になる。
ここからステキな出会いがたくさん生まれています。

いろんな人たちをつなげる高橋さんたちの挑戦と活動は、これからも続きます。

VOL.193「スライスようかん」

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スライスチーズならぬ、「スライスようかん」。
これまでにないスタイルで「ようかん」を提案しているのは、
京都に店舗を構える創業1803年の老舗和菓子店、『亀屋良長』(かめや・よしなが)。

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ようかんの形状は、薄いスライスチーズのようなシート状。
丹波大納言小豆の粒あんようかんに、
沖縄の塩を効かせたバターようかんとケシの実がトッピングされています。

これを食パンに乗せて一緒にトーストすると、羊羹がグツグツと溶けていきます。
上に乗せているバターようかんがトロっととろけてきたら完成。
手軽に小倉バタートーストが楽しめるようになります。

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「スライスようかん」が生まれたきっかけは、なんでもない家族の日常なんだそうです。
『亀屋良長』、8代目の女将・吉村由依子(よしむら・ゆいこ)さんに伺いました。

「うちに子供が二人いるんですが、
一人はあんこがすごく好きで、パンにあんこを塗って欲しいと。
もう一人はチーズが好きなんです。
たまたま、あるとき、パンにスライスチーズをパッと乗せたときに、
“すごいな、すごい楽やな”と思ったんです。
スライスチーズのような手軽さで、餡を塗れたらいいなと。
言うなれば、スライスようかんは私の面倒くさがりなところからスタートしているんですね。」

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餡は冷えると固くなるので、塗りにくいのが難点。
それをシート状にすることで手軽にさっと使える一品に変身。
吉村さんの「めんどくさい」から始まったアイデアですが、
今までありそうでなかった、楽しい商品になりました。

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パンに乗せる「スライスようかん」を通して、
和菓子の美味しさや奥深さと出逢う人が増えているという吉村さん。

「和菓子って、好きな人しか和菓子屋さんに行かないと思うんですが、
すごくお客さんの幅が広がった気がしています。」

老舗和菓子店だからこそできる、時代や生活のニーズに合わせた商品開発。
気軽な手土産としても喜ばれそうですね。
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