みらい図鑑

Vol.23 「富士山の森が小学校」 富士山

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今年から日本の祝日に新しい1日が加わります。
8月11日の山の日ですね。
日本は海に囲まれた海洋大国でありながら、
同時に、山の国でもあるんです。
国土の森林面積は、なんと、先進国トップクラスの66%。
もっと山に親しもう!
そんな想いから、山の日という祝日が生まれました。

日本一の標高を誇る山と言えば、ご存知、富士山。
さまざまな自然保護団体が活動をおこなっているなかでも、
とりわけユニークなのが、
「富士山の森が小学校」という体験プログラムです。




子どもたちが、ただただ、富士山の麓を遊び尽くす!
そんな取り組みを手掛けているのは、
「富士山アウトドアミュージアム」というグループです。
代表の舟津宏昭さんにお話を伺いました。

「単純に、富士山のふもとで遊ぶだけなんです!
公園にも行くし、森の中にも入るし、湖の中でも遊びます。
ときには、トレッキングプログラムもやるし、
ネイチャーゲームもします。
富士山は、ふもとでも、自然を感じられる場所です。
風が吹く日も吹かない日もあります。
雨が降る日も降らない日もあります。
同じ自然環境の日は、たった1日もないんですよね。
そういった偶然も、楽しみのひとつです。

ずっと富士山で活動していて気が付いたんですね。
富士山のまわりで生活している子どもたちが、
じつは、あまり富士山のふもとで遊んでいないなってことに。
だったら、そういうプログラムを作ろうよ!
そういう想いから、富士山の森が小学校が生まれました」




じつは、この、子どもたちのためのプログラム。
取り組みを考案したメンバーは、
富士山のふもとで二人の子どもを育てているお母さん。
「富士山アウトドアミュージアム」
中心メンバーとして活躍する舟津章子さんです。

「富士山の清掃活動って私たちの世代では終わりません。
日本中の人たちが日本一の山に想いを馳せて、
さらに地元の子どもたちがその中心になってほしいんですね。
じゃあどうするか。
まずは、富士山を少しでも好きになるということ。
その想いが原動力になって、
いつまでも富士山を守っていけたらいいですよね」




「五感をフルに使って、富士山の魅力を感じてほしい!」
そう話す舟津宏昭さんは、
富士山の環境保全に関わって今年で15年目。

かつては山小屋に暮らしてバイオトイレを設置したり、
長い間、清掃活動をおこなってきました。
汚い富士山をキレイにするという“対症療法”を経て、
これから大切なことは、
子どもたちに希望を伝えることだと話します。





「富士山アウトドアミュージアム」。
そのコンセプトは、
「富士山に関わるすべてのものが博物資料」というものだそうです。
活動がスタートしたのは、2014年。

主な活動の一つが、「富士山『動物交通事故死』マップ」です。
山梨県と静岡県をまたぐ広大な富士山では、
毎年、多くの動物が、自動車の事故にあっているそうです。
どんなエリアでどんな被害が多いのか。
調べていくうちに、様々な傾向があることもわかりました。
「いつか、その情報をカーナビと連動させたい!」
それが、舟津宏昭さんの想いです。



富士山が世界文化遺産になってから、
ドライブで富士山を走る方の数はとても増えているそうです。
日本一の山には、たくさんの動物が住んでいます。
日本に暮らす哺乳類のほとんどが、富士山に暮らしています。
「森の中におじゃまします!」
そんな気持ちが浸透していく日まで、
富士山アウトドアミュージアムの活動は続きます。