みらい図鑑

Vol.38 「畳」 熊本県

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古くから日本人の暮らしを支えてきた「畳」。

その原料は「いぐさ」という植物なんですが、いぐさの生産量日本一を誇るのが熊本県。
全国の約9割の生産量を占めています。
いぐさを知り尽くした職人さんも多く、「熊本産」ということ自体が畳のブランドにも
なっています。



ですが、和室離れや畳離れが進む今の日本の住宅事情により、年々、生産量も減少。
かつては6000軒あったのが、現在では500軒になってしまいました。

そんな熊本で、変わらぬ想いで畳を作り続けているのが、
創業114年の老舗畳店、「一畳屋(いちじょうや)」。
亀井光子(かめい・みつこ)さんにお話を伺いました。

「いま、畳の香りを知らない子どもたちがたくさんいます。
小学生にいぐさの香りをかがせたところ、最初、“くさい”って言われて
ショックを受けました。
だけど、お話をしてから、もう一度かがせると、“いいにおい”って言ってくれるんですね。今までは畳を作ることだけが畳屋さんだったと思うんですが、
畳を好きになる人を増やせていけたらなって思います。」

畳の香りを知らない子どもたち。
ですが、知る機会があれば、好きになってくれる。
そうしたことから、工場見学や職場体験などにも力を入れているんだそうです。




「畳の文化自体は、私たち日本人の心の中に根付いていて、
家族の輪であったり、和風の輪であったり、
和の文化というものを、畳を通じて発信していきたいなと思います。」

弾力性・調湿性・耐久性、さらにはリラックス効果など、
様々な効能があると言われているいぐさ。
そんないぐさから作られる畳の上で、ごろ寝したり、家族の団らんがあったり、、、
畳は日本人の生活の一コマを、より豊かなものにしてくれる名脇役。

伝統文化としての側面だけではなく、生活習慣の中にある畳。
安らぎの空間となるような、そんな部屋づくり手伝いたい。
亀井さんの想いと挑戦はこれからも続きます。